本文へ移動

プロンプトとは? 意味やChatGPTなどの生成AIでの使い方や業務活用例を解説

更新日:2024.10.09
プロンプトとは? 意味やChatGPTなどの生成AIでの使い方や業務活用例を解説
生成AIの活用がビジネスにおいて注目を集める中、その効果を最大限に引き出すためには「プロンプト」の理解が欠かせません。いかに適切なプロンプトを作り出せるかどうかが、生成AIを使いこなすうえで重要なポイントとなります。

本記事では、そんなプロンプトの意味や書き方のコツ、仕事に役立つ活用例まで初心者向けにわかりやすく解説します。

プロンプトとは

プロンプトとは
プロンプトとは、IT分野では古くからある用語で「促す」「指示する」といった意味を持つ言葉です。生成AIの領域では、AIに対して与える「指示や質問」を指します。

このプロンプトを通じて、生成AIは与えられた指示や質問に対する応答を生成します。プロンプトはプログラミング言語などの専門的な記法ではなく、日本語や英語などの自然言語で入力する方法が一般的です。

つまり、プロンプトはユーザーが生成AIに「何を生成してほしいのか」を伝えるための重要な手段なのです。

参考ページ:プロンプトの基礎(Prompt Engineering Guide)

なお、弊社では生成AIを業務に活用するノウハウをまとめた資料を無料で配布しています。ぜひこちらもお気軽にダウンロードしてみてください。
【お役立ち資料】明日から使える生成AIの業務活用術

プロンプトの種類

プロンプトは大きく分けて以下の3種類に分類されます。

1. 命令:「してほしいこと」を指示する

(例:○○とは何か教えて。○○を要約して。)

2. 補完:後に続くテキストを補完させる

(例:「徳川」とだけ入力すると「徳川家(とくがわけ)は、日本の歴史において非常に重要な武士の家系であり~」などの説明がはじまる)

3. 実演:回答例を提示してタスクを理解させる

(例:「幸せ=プラス、辛い=マイナス、希望=プラス、それなら絶望=は?」と送信すると「マイナス」と返答する)

プロンプトの重要性

プロンプトは、生成AIに対してどのような情報を提供してほしいかを指示するものであり、その質や構成によって出力結果が大きく左右されます。チャット感覚でかんたんに扱える生成AIですが、使い方が良くなければ最大限のパフォーマンスを発揮できません。

質の低いプロンプトを与えた場合、AIが生成する結果もまた、質の低いものになってしまいます。
プロンプトの質を高めれば、単にAIの性能を引き出すだけでなく、業務全体の効率やスピード、生成されるコンテンツの質も向上します。

良いプロンプトを作る5つのコツ

1.具体的かつ明確に伝える

生成AIに対して抽象的で曖昧な指示ではなく、具体的かつ明確な指示を与えましょう。曖昧で情報が乏しいプロンプトであれば、AIも簡潔で浅い回答しか生成できません。

たとえば、あるサービスの紹介文を出力してもらいたい場合「良いサービス紹介文を考えてください」といった曖昧な指示では、期待する回答は得られないでしょう。逆に「ターゲットとなる子育て世帯に訴求できるサービス紹介文を考えてください」などのように、その文章の対象や前提条件を補足することで、クオリティの高い回答を得やすくなります。

つまり、生成AIが情報を推測する必要が少なければ少ないほど、的確な回答を得られやすくなるのです。

2.参考情報を与える

生成AIに適切な文脈や背景情報を提供することで、正確性が高い回答を得やすくなります。

たとえば、あるサービスの紹介文を出力してもらいたい場合は、下図のプロンプトのように目的やサービスの特徴・機能などの参考情報を含めることで、より正確な回答が得られます。
プロンプト例
これはChatGPTを開発したOpenAI社が提供している、プロンプトエンジニアリングガイドでも推奨されている手法です。
 

3.出力条件を指定する

生成AIは指示に対して柔軟に対応できるため、希望の条件をプロンプトに含めることで要求に沿った回答を生成してくれます。

たとえば、「文字数は300字程度で」や「専門知識を持たない人にもわかるように」、「結論から述べるような文章立てで」といった条件を自由に指定可能です。

4.表現方法や出力形式を指定する

生成結果に用いる表現方法や出力形式を明確に指定することで、より実践的に使える形式の回答を得られます。

たとえば、「文体はですます調で」「箇条書きで」や「表形式で」といった指示です。複雑な内容をかんたんに解説してもらう場合には、「10才の子どもでも理解できる表現で」のような指定も有効です。

また、プロンプトには「何をしないべきか」よりも「何をすべきか」を記述した方が回答の精度が高まります。

5.回答をブラッシュアップさせる

生成AIは同一のチャットページ上であれば、それまでの対話内容をすべて把握しています。そのため最初の回答に満足できない場合は、追加の指示や修正点を伝えることで、回答のクオリティを向上できます。

AIの回答内容に対して「この回答をビジネスフォーマルな文体で書き直して」や「〇〇の解説部分は最も重要なポイントだけを端的に解説して」といった追加指示で回答をブラッシュアップして、望む回答へと近づけていきましょう。

やってはいけないプロンプト作成時の注意点・ルール

個人情報や機密情報を含むプロンプトを避ける

個人情報や機密情報を含むプロンプトを避ける
生成AIに指示する際、入力した情報は再学習に利用される場合があります。個人情報や機密情報をプロンプトに含めてしまうと、それが他のユーザーに表示されて外部に流出する恐れがあります。

なお、ChatGPTはテキストだけでなくExcelやWord、PDF、画像など、さまざまな媒体のファイルも読み込めます。したがって、顧客管理リストのExcelや重要文書のPDFなどのファイルを、そのままアップロードしてしまわないようにしましょう。

ChatGPTにはAIに再学習させない設定(オプトアウト設定)も備わっていますが、常日頃からプロンプト作成時は、セキュリティやプライバシー保護に細心の注意を払いましょう。

著作権を侵害するプロンプトを避ける

生成AIはWeb上の膨大な量のデータを学習しているため、プロンプト次第では著作権で保護されているコンテンツを生成してしまうリスクをともないます。AIによって生成したコンテンツが、著作権法の適用を受けるかどうかは議論の余地があります。

しかしながら、プロンプトに著作権で保護された特定の作品やコンテンツを明示的に含めることは避けるべきです。たとえば、「ディズニーのキャラクターが当社のサービスを紹介しているような画像を生成して」などの実在する作品のキャラクター画像を生成させるようなプロンプトです。

こうした著作権のある作品を引用して類似した作品を生み出すことは、法的リスクをともなうため、他者の知的財産権を侵害しないように十分注意しましょう。

プロンプトの悪い例・良い例

業務効率化ツールの提案を依頼する場合

×悪い例:「業務を効率化するためのツールを教えてください」
どの業務やプロセスに関するツールを望んでいるのか情報不足です。そのため、AIが具体的にどのツールを提案すればよいか特定できません。
 
良い例:「製造業の在庫管理を効率化するためのツールをいくつか教えてください。中小企業でも導入しやすいものを優先してください」
業種と業務プロセスを具体的に示し、導入しやすさを条件にすることで、AIは中小企業でも使いやすい在庫管理ツールに絞って回答できます。

団体の活動レポートの要約を依頼する場合

×悪い例:「この活動レポートを要約してください」
レポートの要約を求めているだけで、どのようなポイントを重視すべきかが不明確です。
 
良い例:「この年度の団体活動報告書を300文字程度で要約し、資金提供者向けに強調すべき成果を盛り込んでください」
要約の文字数を指定し、ターゲット(資金提供者)と重視すべきポイント(成果)を明確にすることで、AIは適切な要約を提供できます。

代表的なプロンプトテンプレート

さまざまなシチュエーションに応用できる、代表的なプロンプトテンプレートを3つ紹介します。

深津式プロンプト

深津式プロンプトは、生成AIに役割を与えたうえで制約条件を指定して、より効率的に出力精度を上げるテンプレートです。プロンプトの記述には#(マークアップ言語)を用いて、本文でない箇所を明確化しています。

また逆質問を促すことで、情報が足りない命令をした際、生成AIに欲しい情報を逆に聞き返してもらえます。
【深津式プロンプト例】
#命令書:
あなたは優秀なマーケティング担当者です。以下の制約条件と入力文をもとに、最高の製品提案文を出力してください。このタスクで最高の結果を出すために追加の情報が欲しい場合は、質問してください。
#制約条件:
・文字数は500文字程度。
・重要なキーワードを取り残さない。
・文章は簡潔に。
#入力文:
・弊社の新製品である〇〇〇の提案
・ターゲットは~
・特徴的な機能は~
#出力文:

ReActプロンプト

ReActとはReason and Action (推論と行動)の略です。推論を行った上で具体的なアクションを考え、アクションを踏まえた上で、再度観察してタスクを解決するというテンプレートです。プロンプトはThought(思考・推論)、Action(判断・行動)、Observation(観察・洞察)を繰り返すように指示します。

「漠然としていて何から手をつけて良いか分からない」といった事案に取り組む際には、非常に有効なプロンプトといえます。<Action> 部分に関しては、“ステップバイステップで提示してください”という条件を指定すると、ステップごとに順序立てて回答してくれます。
【ReActプロンプト例】
<##解決したい課題##>についての解決策を教えてください。<Action>に対する回答は、ステップバイステップで提示してください。
<Thought> :
 <Action> :
<Observation> :

ゴールシークプロンプト

ゴールシークプロンプトは、ユーザーの目的に必要な具体的かつ明確化されたプロンプトを、生成AI自身に考えてもらうテンプレートです。

生成AIに指示する際に「〇〇を生成AIで作成したいが、具体的にどんな指示内容にすればよいのか?」と悩む方も多いでしょう。そんな時にゴールシークプロンプトを用いれば、曖昧なゴールからでも明確なプロンプトをAIが作成してくれます。AIと対話を繰り返しながらプロンプトを改善できるのが特徴です。

下記のプロンプトを送ると、「まず、どのようなトピックに関するプロンプトを作成したいか教えてください。」といった返答が返ってくるため、作成してほしいトピックを送信して対話を続けながら最適なプロンプトを作成します。
【ゴールシークプロンプト例】
あなたはプロンプトエンジニアです。
あなたの目標は、私のニーズに合わせて最高のプロンプトを作成することです。そのプロンプトはChatGPTで使用されるものです。
以下の手順に従ってください。
 
1. 最初に、何についてのプロンプトであるかを私に質問してください。
私が質問の答えを提供するので、次のステップを経て、継続的な反復を通じて改善してください。
 
2. 私の入力にもとづいて、以下の3つのセクションを生成してください。
a) 改訂されたプロンプト(改善したプロンプトを提示してください。明確かつ簡潔で、簡単に理解できる形で記載してください)
b) 質問・提案(プロンプトを改善するために、必要な情報について質問・提案してください)
 
3. この反復プロセスは、私があなたに追加情報を提供し、あなたが改訂されたプロンプトセクションを更新し、私が完了したというまで続けます。

ビジネス・業務に役立つプロンプト文例集

実際に普段のビジネスで使える、活用シーンごとのプロンプト例を紹介します。毎日の業務を効率化したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

プロンプト文例1:アイディアの提案

プロンプト例:
「当社の金属加工技術を活かした新製品のアイディアを3つ提案してください。各アイディアには、主な用途、想定される顧客層、競合品との差別化ポイントを含めてください。」

プロンプト文例2:文章の要約や校正・添削

プロンプト例:
「下記に示す年度末報告書を500字以内に要約し、誤字脱字や冗長な表現の改善点を指摘してください。」

プロンプト文例3:商品・サービスの紹介文作成

プロンプト例:
「新開発の省エネ型空調システムの商品紹介文を150字程度で作成してください。主な特徴、導入メリット、想定される顧客を含め、具体的な数値を用いて説明してください。」
ChatGPTの回答

プロンプト文例4:Excelの関数作成

プロンプト例:
「ExcelでSheet1のB列に入っている会社名のなかで、Sheet2のA列に入っている会社名と一致しているものを見つけ出したい。一行目はデータではなく項目名となります。」
ChatGPTの回答

プロンプト文例5:ビジネスメールの文面作成

プロンプト例:
「当社新製品の〇〇〇について協力会社に対してのリリース告知メールを作成してください。ターゲット層と製品の特徴を3点挙げ、打ち合わせの日程調整を提案する内容にしてください。」
ChatGPTの回答

プロンプト文例6:多言語翻訳

プロンプト例:
「下記に示す業務提携契約書を英語と中国語に翻訳してください。ビジネス文書として適切で、現地の文化的背景に配慮した丁寧な表現を使用してください。」

プロンプト文例7:企画・提案内容の評価

プロンプト例:
「新しく提案された設備投資計画を評価し、強み、弱み、改善点をそれぞれ3点挙げてください。コスト削減、作業効率の向上、設備の耐久性の観点から分析してください。」

プロンプト文例8:顧客目線で製品レビューを提案

プロンプト例:
「当社の主力製品である〇〇〇について、効果的なカスタマーレビューの収集と分析方法を以下の3点を考慮した上で提案してください。

1.レビュー収集の具体的な方法
2.収集したレビューから有用な情報を抽出する分析手法
3.分析結果を製品改良に活かすためのプロセス
各項目について200字程度で説明し、中小製造業でも実施可能な現実的な方法を提案してください。」
ChatGPTの回答
カスタマーレビューなどの顧客の生の声は、商品開発や改良に欠かせない貴重な情報です。顧客のフィードバックを効果的に収集・分析することで、より良い製品やサービスを提供できます。
 
ほかにも、本記事では紹介しきれなかったビジネス・業務に役立つプロンプト文例は多数存在します。
なかでも、東京都が公開している生成AI活用のためのプロンプト事例集も、活用のヒントとなるプロンプト例が豊富です。興味のある方はぜひこちらもご覧ください 
 

なお、弊社では生成AIを業務に活用するノウハウをまとめた資料を無料で配布しています。ぜひこちらもお気軽にダウンロードしてみてください。

プロンプトを駆使して生成AIで業務革新を

プロンプトを駆使して生成AIで業務革新を
生成AIの登場により、これまで人が手を動かして行ってきた多くの業務を AIに託せる時代になりました。適切なプロンプトを使いこなすことで、単純作業の自動化だけでなく、より創造的で付加価値の高い業務にも AIを応用できます。

人間の強みと 生成AIの能力を組み合わせれば、業務効率の飛躍的な向上と、革新的なビジネス展開が期待できます。生成AIを「新たなパートナー」として迎え入れ、共に成長していく姿勢が、今後のビジネスを成長させるうえで重要になるでしょう。

業務効率化と顧客体験向上を生成AIで実現する「おりこうAIコンシェルジュ」

弊社ディーエスブランドでは生成AIを利用したチャットボットにより顧客対応を常時自動化して、業務効率化と顧客体験向上を両立できる接客ツール「おりこうAIコンシェルジュ」を提供しています。

おりこうAIコンシェルジュは訪問者がどんな質問をしたかに加え、サイト内のどのページを閲覧したかなどの情報も履歴として蓄積します。情報の不足や、わかりづらい導線等も確認ができるため、ホームページの改善にも役立つので顧客の生の声をマーケティング活動に活かせます。

以下からおりこうAIコンシェルジュの資料ダウンロードや無料体験版を利用できるので、この機会にぜひ導入をご検討ください。
おりこうAIコンシェルジュ
 この記事を書いた人
高島 耕
高島 耕
株式会社ディーエスブランド Webマーケター
ディーエスブランド入社後、メールマーケティングやセミナー運営、社内業務のDX化に携わる。現在はメタバースや生成AIなどの、先端技術分野のライティングを担当。

あわせて読みたい記事