『メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」』 メタバース参考書籍レビュー
メタバースに関する本・書籍をご紹介。今回は『メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」』(著:岡嶋裕史)の読みどころやポイントを紹介します。
中央大学国際情報学部の教授である岡嶋裕史さんによる書籍で、メタバースの基礎知識やメタバースが今後どのように世界を変えていくかを初心者にもわかりやすく解説しています。
【特に重要なポイント・内容】
- デジタル化が進み、音楽や映像などのコピーが可能な「モノ」の存在価値が急激に低くなっていった。そのため、CDやDVDなどの情報媒体の売上が低下している。その状況を打開するために流行しているのが、「モノ消費からコト消費への転換」である。AKB48などのアイドルグループがその典型例。楽曲はいくらでもコピーできるが、握手はコピーできない一期一会の体験を提供してくれる。さらに、1人のアイドルが1時間で握手できる数はそこまで多くないが、それが48人だと莫大な数となるので、その点でもグループ化が有効だった。
- しかし、そのリアルでのコト消費の価値をも脅かす存在がVRであり、メタバースである。仮想空間上での体験のクオリティがアップすればするほど、移動時間や交通費などが必要なリアルイベントのデメリットが大きくなってゆく。逆に言えば、無駄な時間がかからず低コストで実施できる「コト消費」を可能にするのが、VRやメタバースである。
- メタバースとデジタルツインの違いについては、以下のように考えるとわかりやすい。
デジタルツイン…現実世界を忠実に再現することを主眼とした疑似現実。製造業や都市開発の現場などでの、現実のシミュレーションが目的。
メタバース…現実世界とは異なる、都合のよい仮想現実。オンラインイベントやゲームなど、特定の目的を果たすことに特化していれば十分なので、必ずしも現実を忠実に再現する必要がない(たとえば、アバターは現実の人間を細密に再現する必要がなく、デフォルメされたもので十分)。
- メタバースの前段階に近い役割を果たしているのが、SNSである。SNSは自分の嗜好や趣味、価値観などが一致する人々とつながり、それ以外の人々を除外して心地の良いグループを作り出す(いわゆるフィルターバブル)。しかし、SNSでは世界に没入しつづけることはできないが、その点を克服したのがメタバースである。
- 現実世界での経験よりも、仮想空間上での経験のほうが効率的なケースはすでに存在している。たとえば、けん玉の練習は現実でするよりもVR上で練習したほうが上手くなりやすい。VR上では現実とちがって、スローモーションで動かすことができるため、練習しやすいからだ。
- eスポーツは現実のスポーツには参加しづらい、高齢者や障害者、幼児などが同じ土俵で競技を楽しめる可能性を開く。
- 2010年代以降はインターネット上の情報流通の主戦場がWebページからSNSへ転換していったが、今後はさらにSNSからメタバースへ転換する可能性がある。
- Google Glassのようなスマートグラスは、リアルの風景に情報を重ねるという性質上、メタバースよりもAR(拡張現実)のほうが適している。医師がカルテの情報をスマートグラス上に写しながら診察する、あるいは、設備工事をする技術者がマニュアルや説明書を表示しながら作業する…などの活用が期待できる。つまり、スマートグラスはBtoCよりも、BtoB分野での使用に向いている。
- 自治体や行政主体の仮想世界を構築するプロジェクトは、メタバースよりもデジタルツインやミラーワールドなどの疑似現実寄りの施策が多い(バーチャル渋谷や池袋ミラーワールドなど)。ただし、リアルの不便さも仮想世界に持ち込んでしまっている例が多く、成功しているとは言いがたい。エンターテインメントやショッピングなどのBtoC分野では、リアルではできないような体験を仮想世界で実現しないと人が集まらない。
「SNSは他人とつながるためのツールではなく、価値観や嗜好が合わない他人を除外して、居心地のよい空間に囲いこむためのツールである」「メタバースは、資産や容姿などの現実にある格差をリセットして人々が生活できる空間だ」などの刺激的なメッセージが多く、メタバースやWebにそこまで詳しくない方が読むと新たな視点を得られるでしょう。
ただし、「メタバースは人々の生き方をどう変えるか?」という巨視的な内容が中心であるため、「ビジネス分野でメタバースをすぐに活用したい」などの実利的な目的がある方は他の本を先に読んだほうがよいです。
※その場合は、以下のような書籍が適しています。
『メタバースとは何か ネット上の「もう一つの世界」』は、「メタバースが普及した世界で、自分はどう生きるか」を見つめなおしたり、将来的なメタバースのビジネス活用の展望を模索したりするうえでは大いに参考になるはずです。
中小企業でも手軽にメタバースをビジネス利用できるソリューション・おりこうブログCX
弊社ディーエスブランドでは、中小企業・団体でも利用しやすいメタバースソリューション・おりこうブログCXを提供しています。
アバターを操作して3D空間内で会話・チャットするなどのメタバースの基本機能に加えて、訪問者をメタバース空間に誘導するためのホームページやランディングページ(LP)も作成できます。
採用活動での会社説明会や交流会などのイベントに利用して、他社との差別化が可能です。
また、建築業・工務店であれば、住宅営業支援システム・ALTA Revolutionで作成した住宅データをメタバース上に設置して、お客様オリジナルの住宅展示場・モデルハウスを構築できます。
メタバースを自社でも手軽に始めたい方は、ぜひ以下から詳細をご覧ください。
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