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『メタバース未来戦略~現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤~』 メタバース参考書籍レビュー

『メタバース未来戦略~現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤~』 メタバース参考書籍レビュー
メタバースに関する本・書籍をご紹介。今回は『メタバース未来戦略~現実と仮想世界が融け合うビジネスの羅針盤~』(著:久保田瞬・石村尚也)の読みどころやポイントを紹介します。

メタバースの専門メディア「Mogura VR」編集長の久保田瞬さんと、DBJキャピタル株式会社シニア・インベストメント・マネージャーの石村尚也さんが「そもそもメタバースで何をしたらいいのか」という疑問に対して、冷静に現状を分析しながら解説しています。
市場をリードする有識者との対談を交えて、この先訪れるであろう「メタバースの世界」に触れている1冊です。

「メタバースとは何か?」ではなく「メタバースと呼ばれる業界で何が起こっており、今後どうなっていくのか?」が書かれています。

【特に重要なポイント・内容】
  • メタバースのコンセプトは、仮想空間を最新の科学技術で実現させることである。今後のビジネス活用次第で、大きな産業変化が起こりうる。

  • メタバースを語るうえで、引き合いに出される「Second Life(セカンドライフ)」は2003年に米リンデンラボ社からリリースされ、「早すぎたメタバース」とも呼ばれた。仮想的な通貨を用い、経済活動ができるバーチャル空間は、当時としては画期的なものだった。
    現在のメタバースがセカンドライフと大きく異なっているのは、以下の3点である。
    1. 技術の進歩(PCの処理能力の向上やブロックチェーン技術の登場)
       ※ブロックチェーンとは、デジタル情報を連鎖的に記録・管理する技術のこと。ブロックチェーンは不正な改ざんを防ぐことができ、信頼性の高い分散型のデータベースとなっている。主な用途としては、暗号通貨(ビットコインなど)の取引など。
    2. 投資やユーザー規模の大きさ(8兆ドル(約915兆円)規模の市場となる予測)
    3. 多くの人々がメタバースの概念に慣れている(メタバースと呼べるサービスの出現)

  • 2021年10月26日、メタバースに対する期待が、世界中で高まった。フェイスブックCEOマーク・ザッカーバーグが、メタバース実現に向けたビジョンを発表して、社名を「Meta Platforms(Meta社)」へ変更した瞬間である。

  • メタバースは必ずしもVRデバイスでアクセスする必要はなく、パソコンやスマートフォンの画面の中でも体験できるものもある。VRはメタバースの世界にアクセスする手段のひとつにすぎない。

  • ゲーム産業でもメタバースの構成要素を満たしたものがあり、代表的なものは「fortnite(フォートナイト)」や「Minecraft(マインクラフト)」などである。
    ゲームにはメタバースを構築するための要素技術が多くあるため、今後はゲーム業界がメタバースの一翼を担う可能性が高い。

  • withコロナにおいて生じた社会の構造転換(デジタル化、非接触化、合理化)により、本来は数十年かけて訪れる変化が短縮された。この変化は、メタバースの技術にも変革を与えた。

  • メタバースに対する概念において、有識者の見解で共通している点は以下の3点である。
    1. オンライン上のバーチャル空間である
    2. 相互にコミュニケーションができる
    3. 経済活動ができる

  • Meta社のマーク・ザッカーバーグは「メタバース最大の特徴は、世界中のどこにいても、自分がそこにいて、他の人と一緒に存在しているように感じられる。それは素晴らしい感覚で、非常に人間的なもの」
    「次の段階は没頭し、他の人と一緒にいるような感覚を味わえるメディアとなること。これこそがメタバースの本質となる」と述べている。

  • メタバースでもクリエーターエコノミー(ユーチューバーなど)が重要だとされている理由は、メタバースのプラットフォームの多くは「箱」であり、その中に世界をつくる必要があるため。
    メタバースコンテンツとは最終的には、テーマパークのようなものになり、VR(仮想現実)はよりソーシャル化すると推測される。

  • メタバースとゲーム産業の親和性は高い。ベースの技術から、仮想空間で楽しませる仕掛けまで、知見の宝庫といえる。ゲーム産業でも、下記のメタバース的要素を満たしているものがある。この要素を踏まえると、ゲームがメタバース化しているともいえる。
    1. 多人数が同時にログインしている
    2. 空間がある
    3. 目的や物語がなくても成立しうる
    4. 箱庭であるが故の自由度や強さがある

  • メタバース実現に至るフェーズは4段階に分けられる。

フェーズ0
シーズ期(2000年代~2010年代)
メタバースの構成要素が全く満たされていない状態
フェーズ1
黎明期(現在~2025年ごろ)
メタバースの構成要素を複数満たしはじめる
フェーズ2
普及期(2025年~2030年ごろ)
メタバースの構成要素の多くが満たされる
フェーズ3
定着期(2030年以降)
メタバース構成要素が満たされ、一部は陳腐化する

  • メタバースにおける4つのビジネスポジション
    1. メタバースの基盤を作る役割(将来の期待収益は高いが投資コストは高い)
    2. モノづくりをサポートする役割
    3. メタバースでモノづくりを行う役割
    4. メタバース上でサービスを提供する役割(投資コストは低いが期待収益も低い)

  • メタバースでは昨今のトレンドでもある「ユーザーが自由に何かを作れること(ユーザー生成コンテンツ)」が重要なコンテンツとなる。

  • メタバース時代とは「バーチャル空間に新しいインターネットがもう1回生まれる」とされ、たとえばAIがエージェント(代理人)となって人間とAIが一緒に仕事や生活をする未来が来る。

  • メタバースビジネスにおいては、現実世界でも重要な「見た目」「マネタイズ」「運営」の3要素が必要とされている。日本国内でも、メタバースを活用した多様なビジネス事例が出現してきている。

  1. バンダイナムコが2025年までに40億円の投資を表明し、「ガンダムメタバース」の構築を発表した。これは、作品に登場する宇宙の居住空間(コロニー)を体験できる仮想空間となる。

  2. サンリオは2021年12月に、計5フロアのバーチャルピューロランドを用意して、52組のアーティストが参加する音楽フェスを開催している。同イベントは、日本のみで数千人の有料観客が参加。対応プラットフォームも複数対応として、先進的な取り組みとなった。

  3. 日本を代表するゲームイベント「東京ゲームショウ」は、バーチャル空間内に各社の展示ブースが広がり、ゲームの世界観を複数のプラットフォームで体感できた。来場者はのべ21万人との結果が公表されている。

  4. 三越伊勢丹は、2021年3月に伊勢丹新宿本店とその周辺をバーチャル都市とした「REV WORLDS(レヴワールズ)」をリリース。CG化された化粧品などが並んでおり、商品にはECサイトのリンクが掲載されているため、すぐに購入ができる。今後は、メタバースによるECモデル「メタコマース」が定着してくれば、アバターに試着させることで、リアルに近い購買体験も可能。

  5. 現実の空間を再現するものでは「バーチャル渋谷」・「バーチャル大阪」・「バーチャルOKINAWA」などが登場している。なかでもKDDIらが取り組む渋谷スクランブル交差点エリアを再現したメタバースでは、イベントが数回にわたり開催され、のべ55万人が参加している。

  6. 医療の分野でもメタバースの活用の動きがある。XR(クロスリアリティ)を使ったトレーニングや作業の補助、リハビリ向けの体験コンテンツなどが主な取り組み。しかし、活用の具体例はまだ少ないといった印象。
     ※XRとは、現実世界と仮想世界を融合することで、現実にはないものを知覚できる技術の総称

  7. メタバースと教育についても実験的な試みが行われた。角川ドワンゴ学園N/S高等学校では、2021年4月から始まった「普通科プレミアム」は、履修可能な授業のうち約半数がVRに対応している。VRを用いることで、コミュニケーション力も養うことができる。

  • メタバース普及に向けての課題は、チャレンジできる環境を整えること。その環境構築に向けて、韓国ではメタバースを注力分野としており、約223億円を産業振興に当てている。日本でもこのような体制が整わないと、企業の積極的な進出は望めない。

  • メタバースビジネスの始め方としては、まずはバーチャル空間を体験してみること。また、短期的なビジネスチャンスではないので、継続を前提とした計画が必要であること。

  • メタバースはまだまだ未成熟な市場であるが、裏を返せばまだ可能性しかない状態ともいえる。日本からもメタバース市場を牽引するようなグローバルな存在が誕生する可能性をも秘めている。



本書籍は現在のメタバースを取り巻く世界の潮流や、今後の仮想世界の変革過程、課題などの解説が豊富です。

「現実と仮想世界が融け合う未来」は、近い将来訪れるでしょう。
表題に「ビジネスの羅針盤」とあるように、これからメタバースの分野でビジネス展開を考えている方に大いに参考になる1冊です。

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