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デジタルツインとは? 意味やメタバースとの違いを簡単に解説

更新日:2024.07.08
デジタルツインとは?意味や事例、メタバースとの違いを簡単に解説
近年、急速にテクノロジーが進化する中で、デジタルツインやメタバースなどの概念が注目を集めています。

デジタルツインは、現実世界のモノや動きを仮想空間上に再現する技術です。
デジタルツインとメタバースは、どちらもバーチャル空間を用いる点は共通していますが、似ているようで異なる存在です。

本記事では、デジタルツインの意味やメリット・事例・メタバースの違いについて、初心者向けに解説します。

目次

デジタルツインとは?

デジタルツインとは?
デジタルツインとは、現実空間にある要素のコピーをバーチャル空間上に再現する技術です。

現実に存在するものとそっくりな双子(ツイン)を、デジタルデータとして構築するため「デジタルツイン」と呼ばれます。

カメラやセンサーなどから取得した現実のデータをもとに、建物や道路などのインフラ・経済活動・人の流れなどさまざまなモノ・コトを対象として、デジタル化して再現できます。

これにより、現実空間のリアルタイムのモニタリングや、精密なシミュレーションが可能です。

デジタルツインの構成要素

デジタルツインを構成するために必要な要素を紹介します。

IoT

IoT
IoT(Internet of Things)とは「モノのインターネット」と呼ばれており、さまざまな機器をインターネットに接続して、相互に通信する技術の総称です。相互に情報を共有し合うことで、自動化や遠隔制御、効率化などの目的を実現します。

またデジタルツイン化したデータを収集し、クラウド上で処理することで、現実空間の状況を把握できます。

たとえば工場設備の稼働状況や温度、湿度などをセンサーで収集・処理して、工場内の状況をリアルタイムに把握・共有することが可能です。

AI

AI
AIとは、人の知能を人工的に再現したシステムで人工知能と呼ばれます。
さまざまなデータを学習し、パターンやルールを抽出して、それをもとに問題解決や意思決定を行います。

現代のAIの特徴は機械学習や深層学習などの手法を用いて、大量のデータから自動的に学習し進化することです。

デジタルツインでは、AIに膨大なデータを収集して学習させて、高精度な分析・予測結果を導き出します。

5G

5G
通信速度や低遅延性に優れた次世代の高速通信規格が、5G(5th Generation)です。

デジタルツイン実現に必要な大容量のデータ伝達には、高速かつ低遅延の通信は欠かせません。前世代の4Gと比較して、通信速度では約20倍を超えるとされており、大容量のデータ通信が可能となりました。

5Gによって高速大容量・低遅延・多数同時接続が実現できるからこそ、リアルタイムにデータを反映する仕組みが成り立っています。

XR

XR
XR(クロスリアリティ)とは、現実空間と仮想空間を融合させて、現実では知覚できない新たな体験を創造する技術です。
拡張現実(AR)仮想現実(VR)複合現実(MR)などのバーチャル技術の総称となります。

設備の維持管理や作業シミュレーションなどを効率的に行うために、XR技術を利用してデジタルツイン化された空間を共有・可視化します。

デジタルツイン化されたバーチャル空間を、より視覚的にリアルに構築するためには、XRの技術は不可欠です。
 

CAE

CAE
CAEとはコンピュータ支援工学(Computer Aided Engineering)の略称で、コンピュータを用いて製品の設計や解析を行う工学支援システムです。

デジタルツインにおいては、物理空間の状況を仮想空間上に再現し、CAEによってコンピュータ上でシミュレーションします。

IoT技術によって実態に近いデータをリアルタイムに反映できるようになり、CAEの重要性が再認識されました。

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デジタルツインの用途

デジタルツインはすでに、さまざまな用途で利用されています。

発電・エネルギー

発電・エネルギー
環境負荷を低減するため、オペレーションの効率化と設備稼働率の向上が課題とされてきました。
デジタルツインの実現により、運転状況や設備の保全状態が容易に取得でき、効率の悪い箇所や故障のリスクを早期に検知します。

風力発電の例では、最も風力効率の良い立地の選定や設計の最適化にデジタルツインを利用することで、複雑なシミュレーションを実現しています。

製造

製造
現場が抱える課題の解決や生産性の向上を図るために、デジタルツインが用いられています。
試作品のコスト削減や製品の品質向上、トラブルの事前検知などの生産プロセスを最適化します。

こうした予測メンテナンスを行えば、機器の故障リスクは低減し、結果的に生産ロスを回避できるでしょう。

現在では、製造ライン全体をまるごとデジタルツイン化して、レイアウトやロボット運用、物流システムの最適化を図る取組みも始まりました。

医療・ヘルスケア

医療・ヘルスケア
デジタルツインは、医療やヘルスケア領域での応用も始まりました。

たとえば手術用ロボットや医療機器にセンサーやカメラを組み込み、デジタルツインと連携させれば、手術のリアルタイムな可視化や制御が可能となります。

また個々の患者に関するデータや状態をデジタルツインで管理し、病状のモニタリングや予測にも活用できます。
患者の健康データやバイタルサインをリアルタイムで取得し、個別の治療計画の作成や早期警告システムの構築が容易になることで、医療の質の向上にも寄与するでしょう。

都市計画

都市計画
本物の都市そっくりなバーチャル都市を構築して、都市の持続可能性や効率性を向上させるために、モニタリングやシミュレーションを行います。

都市内の道路や建物などの静的データに加え、街での人流や物流、エネルギー消費などの動的データを統合した大規模なデジタルツインのモデルです。

たとえば交通フローの可視化や、交通渋滞の緩和などの効率的な交通制御やエネルギー効率・環境負荷の最適化・施設の保守管理・災害予防などに貢献します。

デジタルツインのメリット

生産性の向上・効率化

製品の受発注から設計や開発、納品まで(リードタイム)の各段階で、製品やプロセスを再現し、その様子や状態を前もって把握可能です。

また物的要素だけでなく、人員の最適な稼働状況や生産スケジュールなども含めた最適解をAIが導き出すことで、生産性も向上します。
これまで実施が困難だった高度なシミュレーションもデジタルツインで再現可能となったため、大幅な効率化が期待されています。

AI分析による品質の向上

IoTを介して得られた膨大なデータを、学習型AIが分析してくれるため、精度の高いデータを取得できます。
製造業では、設備保全オペレーションの向上や品質・リスク管理、リードタイムの短縮などのメリットにつながります。

さらに製造プロセスに悪影響を与えている工程や機器の特定が容易になり、トラブルシューティングに対する労力の削減にも有効です。

予知保全の実現

予知保全の実現により、デジタルツインのデータをもとに設備が故障するまでの残存耐用時間(RUL)を見極めます。機器の保守や修理、交換を行う前に機器の状態を監視し、問題を事前に検出可能です。
こうした計画的なメンテナンスを実施できれば、将来的な故障を事前に予測するなどの予防措置にも活かされます。

またメンテナンスの効率化による機器寿命の延長にもつながり、利益や工期のロスを最小限に抑えて生産性を向上させることに結びつきます。

遠隔での作業支援・技能伝承

デジタルツインを通じて通信端末でリモートでの状況把握が可能であり、遠隔地でも実地視察ができます。

さらにXR技術を駆使して視覚化すれば、現地の状況をよりリアルに再現できるため、的確な支援を行えます。
従来は、必ず現場に出向く必要があった現地での管理業務もリモートで行うことができ、作業データをデジタルツインに記録・蓄積することで、技術やノウハウの伝承にも活用可能です。

社会的な課題解決のサポート

災害対策やインフラなどの社会的な課題解決の一助となります。
デジタルツインと現実空間の双方向の連携を利用して、都市や交通などの管理・運営の効率化や、教育・医療などのサービス多様化の実現に向けた運用が期待されています。

正式に運用が始まれば、災害情報や人の流れをリアルタイムに共有できるため、避難時における被災者の適切な対応を促すことにつながり、2次災害防止にも効果的でしょう。

今後のデジタルツインの市場規模

デジタルツインの市場規模は2021年の65億30万米ドルから急増し、2030年には1,257億1,740万米ドルに達すると推定され、注目すべき年平均成長率は39.48%となっています。
 
デジタルツイン技術とIoT、AIによる機械学習、クラウドコンピューティングの組み合わせは、市場成長をさらに加速させると予想されます。
この市場予測からデジタルツインは、産業のイノベーションを推進する原動力として、高い可能性を秘めているといえるでしょう。

デジタルツインの活用事例

ここで国内でのデジタルツインの活用事例を紹介します。

Project PLATEAU(国土交通省)

Project PLATEAU(プロジェクト プラトー)は、国土交通省が主導する3D都市モデル整備・活用・オープンデータ化プロジェクトです。
 
公式サイト:Project PLATEAU
 
2020年12月に発足した日本全国の都市の3Dモデル化プロジェクトであり、より高度な都市計画立案や都市活動のシミュレーションなどへの活用を目的としています。
都市活動のプラットフォームデータとして3D都市モデルを整備し、さまざまな領域でユースケースを開発しています。
主なユースケースは、都市計画・防災・観光・交通・エネルギー・環境問題などです。

PLATEAUではデータをオープンにすることで、誰もが自由に都市データにアクセスし、さまざまな用途に活用できるようになります。
実際にPLATEAUの都市データをプレビューできる、ブラウザベースのWebアプリケーションも公式サイトにて公開されており、誰でも閲覧可能です。

東京都デジタルツイン実現プロジェクト(東京都)

仮想空間と現実空間の融合による都市のデジタルツイン化を実現し、都政サービスや都民の生活クオリティ向上を目指すプロジェクトです。
 
 
防災・まちづくり・モビリティ・エネルギー・自然・ウェルネス・教育・働きかたといった、さまざまな分野での活用が目的です。

東京都では、2030年までにデジタルツインのリアルタイム運用を実現し、2040年までに継続的な改善サイクルの構築を目指しています。
プロジェクトの実現にむけてデジタルツイン基盤の構築、仕様・ルールの整備、重点分野でのサービス実装などのアクションを、ロードマップに定めて推進しています。

下記の動画は、地震・避難対策の人の避難行動をシミュレーションしたものです。

WOVEN CITY(トヨタ自動車)

WOVEN CITY(ウーブン・シティ)とは、トヨタ自動車が静岡県裾野市に建設中のスマートシティです。トヨタ自動車の先進技術や新規事業の開発を検証する場として、自動運転車やロボット、AIなどを活用した未来の暮らしの実現を目指しています。
実際の都市づくりと並行して、デジタルツインとなるバーチャル版も構築を進めています。
 
 
2021年2月に着工し、2024年にも実証実験が始まる予定です。WOVEN CITYの名称は、網の目のように道が織り込まれている街の姿から名付けられました。
街全体がIoT化され、リアルとデジタルの両面から、ものづくりのサポートや知識共有、事業の立ち上げや拡大の支援も行われます。

ほかにも生活にかかわる食・農業・エネルギー・ヘルスケア・教育・エンターテインメントなどの「未来の当たり前」を生み出していく一大プロジェクトとなっています。

デジタルツインとメタバースの違い

ここでデジタルツインとメタバースの違いについて解説します。
デジタルツインとメタバースは、どちらもデジタル技術を利用して仮想空間として再現する概念ですが、それぞれ異なる側面を持っています。

メタバースとは簡潔に言うと、アバターを介してアクセスすることで、サービスの利用や他のユーザーとのコミュニケーションができるインターネット上の「3次元仮想空間」を指します。
 

 
デジタルツイン
メタバース
概念
現実世界のモノ・コトを仮想空間に忠実に再現
現実を再現する必要がない(現実とかけ離れたSF・ファンタジー空間なども構築可能)
主なユースケース
高度なシミュレーションやモニタリングなどの検証・分析
他者とのコミュニケーションや、ゲームなどのエンターテインメントの場
アバターの有無
基本的にアバターは不要
アバターは必須


上記の表からわかるようにデジタルツインは、現実空間を仮想空間上に再現する技術であり、メタバースは仮想空間を創造する技術であるといえます。

しかし近年では、デジタルツインとメタバースの技術を掛け合わせた「インダストリアルメタバース」という技術が、製造業において活用されています。
デジタルツインで再現された仮想空間上にアバターとして複数のユーザーが入り込み、距離や時間などの物理的な制約を超えた効果的な働き方やトレーニングが実現可能となりました。

また「インダストリアルメタバース」の特長から、製造業のDX(デジタルトランスフォーメーション)化に大きく貢献することも期待されています。

このようにデジタルツインとメタバースの要素が連携することで、今後は製造業以外でも業務の効率化につながるサービスが生み出されるかもしれません。

デジタルツインの展望

デジタルツインの展望
デジタルツインは製造業をはじめとするさまざまな産業や社会課題を解決するDX化技術として注目されています。IoTやAI、XRなどの技術の発展とともに、より高精度でリアルタイムなデジタルツイン化が求められるでしょう。

デジタルツインは現実空間の情報を仮想空間に再現するだけでなく、仮想空間でシミュレーションや予測を行い、現実空間にフィードバックします。

この相互性により設備保全や品質向上・リスク低減・工期短縮・コストダウン・アフターサービスの充実など多彩なメリットが得られます。

ほかにも都市や建物、人や動物などのデジタルツインを組み合わせれば、より複雑で多様なシナリオを想定したシミュレーションも可能です。
アイデア次第で産業的課題だけでなく、災害対策シミュレーションなどの社会的課題の検証にも十分な効果を得られるでしょう。

そして近年課題として取り上げられる労働力不足が深刻な日本では、業務のDX化は急務です。今後はデジタルツインやメタバースといった先端技術を活用して、労働力不足を補う施策を具体化しなければなりません。
こういった先端技術を早期にビジネスに取り入れることは、他社との差別化やブランドイメージの向上にもつながります。

ぜひ、皆さんもデジタルツインやメタバースの活用を検討してみてください。

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 この記事を書いた人
高島 耕
高島 耕
株式会社ディーエスブランド Webマーケター
ディーエスブランド入社後、メールマーケティングやセミナー運営、社内業務のDX化に携わる。現在はメタバースや生成AIなどの、先端技術分野のライティングを担当。