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『メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略』 メタバース参考書籍レビュー

メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略』 メタバース参考書籍レビュー
メタバースに関する本・書籍をご紹介。今回は『メタバース×ビジネス革命 物質と時間から解放された世界での生存戦略 』(著:西田宗千佳)の読みどころやポイントを紹介します。

フリージャーナリストの西田宗千佳さんによる書籍で、独自の観点でメタバースの過去から現在、未来を解説しています。
メタバース業界を牽引する大手企業の事例や、ビジネス活用の可能性など参考になる1冊です。


【特に重要なポイント・内容】
  •  Facebook(フェイスブック)社は2021年10月にメタバースを今後の事業の中核とする発表を行い、社名をMeta(メタ)に変更した。
    この発表後、メタバースが注目を浴びることになった。
    しかしMeta社は、もう8年近くもメタバース事業に取り組んできている。このタイミングでの社名変更はメタバース事業への「本気度を見せる」という意味合いもあるのだろう。

  • 「VR(仮想現実)」はメタバースビジネスにおける1つの核といえる。現在VRは主にゲーム産業で活用されている。
    VRとはHMD(ヘッドマウントディスプレイ)を装着してバーチャル空間を眼前に映し出し、臨場感や没入感を味わえるデバイスだ。なお、VRとメタバースは同一の意味ではない。
    VRは、インターネットにおける「ウェブブラウザー」や「メールソフト」のようなもので、メタバースを構築するための1つの要素にすぎない。
    したがってVR=メタバースではないが、VRはメタバースにピッタリの技術であることは間違いない。

    参考記事:メタバースとVRの違い・特徴・メリット・ビジネスでの活用を解説

  • メタバースとは「ネットの中に新しい生活圏ができること」だろう。
    オンライン上での対話やショッピング、コンサート、会議などのコンテンツは「メタバース概念の一部を実現した初期のサービス」といえる。
    これらが相互につながり、ネット上に生活空間が拡大されて初めて「理想的なメタバース」になる。

  • 2022年に入り、アメリカのIT企業では「業績の伸びが止まる」という観測が増え始めた。ほかの通貨に対してドルが急速に強くなり、結果としてインフレの加速が懸念された結果だ。
    こうした実情からMeta社を含めさまざまな企業が、SNSブームの終わりに備えてメタバース分野によりいっそう注力をはじめた。なかでもMeta社がリリースした「horizon Workrooms」は非常に手の込んだサービスだ。
    アバターを用いて仮想空間上でミーティングができ、音声の遅延は多くのビデオ会議システムより小さい。
    技術水準では、他社を大きく引き離している。
  • 国内では、ソニーもメタバースの将来性に魅力を感じている。
    ソニーグループの吉田憲一朗会長兼社長CEOは「当社ならメタバースを作る領域についても参加できるでしょう。メタバース内でいろいろなクリエイターが創造性を発揮できるような場を作り、サポートすることをぜひやっていきたい」と述べている。
     
  • 建築関連メタバースは、建造物の構造を計画の段階で確認したり、不動産物件の販売・内覧で利用したりといった用途も広がっており、すでに実用段階であるといえる。

  • 今後世の中にあるすべてのものはデータ化され、デジタル空間の中でも活用されていく。そのような現代社会をそっくりデジタルに置き換える技術を「デジタルツイン」と呼ぶ。とくに産業分野に大きな価値をもたらす。
    製造工場などのデジタルツインでは現実のデータと比較して、生産ラインの流れをシミュレートするため、ビジュアルのきれいさよりもデータの精度が高いことが求められる。

  • 国交省が取り組む「project PLATEAU(プラトー)」は、日本国土のデジタルツイン化を目指している。
    国内のさまざまな場所を3Dデータ化し、誰もが自由に利用できる形として公開を目指すプロジェクトだ。このプロジェクト誕生の理由は、災害を想定したシミュレーションや都市計画などに活かすためである。
    またプラトーのデジタルデータは、自動車の自動運転における活用も予測されている。このような「正確で気軽に使えるデジタルツインのデータ」の存在が、新しいビジネス開発の基盤となる。

  • 現在、最も多くの利用者を集めているメタバースは、オンラインゲームといえる。
    1. Fortnite(フォートナイト)
       米Epic Games社のオンラインシューティング対戦型のゲーム。ゲーム内ではクラフト要素もあり、単に勝敗を競うだけでなく、コミュニケーションしながら遊べる「自由な遊び場」という感覚を与える。
    2. Roblox(ロブロックス)
       米Roblox社が2006年にリリースしたクラフトゲーム。ゲーム内で何でも作れることが特徴で、ユーザーでもあるクリエイターがゲームをプログラミングして配布できる。
       こういったアイテムやゲームに価格をつけて、ゲーム内通貨を用い販売することも可能。ゲーム内通貨であるRobuxは実際の通貨に換金ができる。この収益モデルの要素から「ゲーム界のYouTube」とも呼ばれる。
 
  • メタバースを「生活の一部を過ごすネットワークの世界」と定義するなら、現在はゲームでの活用が注目される。
     理由としては、ゲームがコミュニケーションのための「強い目的」になっているからだ。
 
  • 現在でも実現されているメタバース(原初的メタバース)の1つが、2003年に米Linden Lab社がリリースした「Second Life(セカンドライフ)」だ。ユーザーである人々がゲーム内に土地を借り、建物を作り、アイテムを作り、コミュニケーションしながら社会生活を営む。
    2008年頃ブームとなるが、利用のハードルが高く、徐々にユーザーは減少していった。しかし2021年の月間アクティブユーザー数は100万人程度とされ、ブームの頃に近い状態までユーザーが戻ってきている。

    参考記事:Second Life(セカンドライフ)とは? メタバースとの違いを解説
  • 日本からも原初的メタバースが登場している。
    1. Cluster
      クラスター株式会社が開発・運営するメタバースプラットフォームである。パソコンやスマートフォンなどの端末からメタバース空間内に集まり、イベントやゲームを体感できるサービス。ユーザーは自身の分身であるアバターを設定し、アバターを通してコミュニケーションを行い、仮想空間内で交流や体験を楽しむ。
      代表的なメタバース空間では、大阪の街を仮想体験できる「バーチャル大阪」が挙げられる。
    2. HIKKY
      株式会社HIKKYはVRを中心としたXR関連事業を展開し、VRイベント「バーチャルマーケット(Vket)」を開催している。出展者は企業に限らず個人のクリエイターも出展可能で、多種多様な商品やサービスのバーチャル体験が可能だ。
      公式サイト:Vketイベント事業

  • 現実のイベントと比較して、オンラインイベントで開催するメリットは以下の3点である。
    1. 場所を問わない
    2. 時間を問わない
    3. 来場者の様子をトラック(追跡)できる
      3点目のトラックできるメリットとは、来場者がどんなものに興味を持ったかなど、投資効果を把握できること。
       
  • メタバースで活用が期待されるNFT(Non-Fungible Token)は「交換不可能な価値を持つトークン」の意味を持つ。たとえば、有名アーティストが発行したデジタルアートをNFTとして販売することで、その作品が唯一無二であるという保証を与える。メタバースとNFTの可能性はセットで語られることが多い。

  • 今後のメタバースビジネス拡大における重要な点は「研修・教育での活用」と「ビジネスツールとしての定着」だと考える。これらの利用法が、メタバースを身近な道具にする上で欠かせない分野である。パソコンやスマートフォンといった毎日使うビジネスツールは、大きな市場となるからだ。

  • メタバースサービスで主に利用される、VR機器の普及が進んでいない理由としては「理想的なデバイスがまだ出来上がっていない」から。
    VR機器はハード・ソフト面ともに、まだ技術的課題が多数ある。開発各社も、この課題をクリアするために日々、技術開発に取り組んでいる。VR機器の低価格化・小型化が進めば活用の場はさらに広がる。

  • 現在の回線速度では、コンマ数秒単位で遅延が発生する。現状ではオンラインでのコミュニケーションに遅延が存在し、それをいかに隠ぺいし、気にならない構造を作るかも課題の1つである。しかし裏を返せば、メタバース内で低遅延が実現すれば、大きな武器になる。

  • 将来はパソコンやスマートフォンのように「毎日、誰もが使う要素」を満たすようになると、スムーズにメタバースの普及は進んでいく。メタバース分野は未成熟で、まだまだ助走中だといえるだろう。

  • ユーザーの手によって、さまざまなコンテンツを作ることを「UGC(ユーザー・ジェネレイテッド・コンテンツ)」と呼ぶ。SNSも「書き込みというUGCによるプラットフォーム」である。UGCとして多くのクリエイターが参加し、いろいろなサービスで収益を得られるようになると、メタバース自体の価値も自律的に高まるだろう。

  • ディスプレイという平面を見るパラダイムから50年。インターネットは次の世界へ進もうとしている。
    今までのウェブよりも人間の身体性に近く、“そこ”にいる感じが強いサービスとして、メタバースは定着していく可能性がある。


メタバースがビジネスにどのように活用されているかなど、豊富な事例をもとに解説されている点が印象的でした。
理想とされるメタバースへの実現には、多くの課題があります。しかしその課題を克服し、メタバースが生活の一部になる時代も、将来訪れるかもしれません。

ビジネス活用においてメタバースに興味や関心がある方には、オススメの書籍です。
メタバース×ビジネス革命

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  • 作者:西田 宗千佳
  • 出版社:SBクリエイティブ
  • 発売日: 2022年12月09日頃

中小企業でも手軽にメタバースをビジネス利用できるソリューション・おりこうブログCX

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