有料SSLと無料SSLの違いとは? メリット・デメリット、重要性を解説
更新日:2024.03.08
ホームページのセキュリティ対策で重要な役割を果たすSSLには、有料・無料の違いがあることをご存知でしょうか?
今回は有料SSLと無料SSLの違いやメリット・デメリット、そして中小企業がSSLを導入する必要性まで、かんたんに解説します。
どのタイプのSSLが自社に適しているかを理解し、安全で信頼性の高いWeb環境を構築したい方はぜひご覧ください。
目次
そもそもSSLとは?
SSLの役割と目的
SSL(Secure Sockets Layer)は、インターネット上のデータ通信を暗号化して、第三者による盗聴や改ざんを防ぐ技術です。データ通信の情報が暗号化されるため、もし第三者が途中で通信を傍受したとしても、内容を解読できません。
つまりSSLとは、個人情報の漏洩や改ざん・なりすましなどの深刻な事態を防ぐセキュリティ対策です。ホームページがSSL化されていれば、訪問者の個人情報を保護し安全に閲覧できる環境を提供できます。
SSL未対応の場合、ブラウザアドレスバーに“保護されていない通信”と表示され、第三者に情報を盗まれるリスクがあることが示されます。
一方、SSL化されたページには“https://~”とsecureの頭文字である“s”が付き “保護された通信”と表示されます。この仕様により、訪問者は安全なサイトかどうかを容易に判別できるようになりました。
SSL暗号化の仕組み
SSLはデータを暗号化(平文を暗号文へ変換)して、復号化(暗号化を解除)するために必要な「鍵」を用いて送受信します。
特定のブラウザとサーバーでのみ使用できる「共通鍵」を使って暗号化しており、データの送受信途中で不正アクセス等によりデータが流出した場合も「共通鍵」で守られているため、データの悪用を回避できます。
SSLが誕生したことで、通信データの機密性を確保しつつ安全なオンライン通信が実現されました。私たちが安心してネット上で情報を送受信できるのは、このようなセキュリティの仕組みがあるからこそなのです。
有料SSLと無料SSLの違い
有料SSLと無料SSLのセキュリティ強度は同じ
実は暗号化のセキュリティの強度には有料SSLと無料SSLに違いはありません。“データ通信を暗号化する”というSSLのセキュリティ要件においては、有料・無料問わず実現できます。
では有料SSLと無料SSLでは何が違うのか、下記3点に分けて解説します。
1. SSL証明書の認証レベル
有料SSLと無料SSLの大きな違いは、その企業が真に実在しているか否かを示す第三者機関が発行した証明書のレベル(認証レベル)です。
「EV認証」・「企業実在認証」・「ドメイン認証」と分類されいずれも第三者機関が発行し、レベルが高いものほどその企業サイトとしての信頼性が高いことを示します。
なかでも有料SSLである「EV認証」・「企業実在認証」は厳正な審査を実施するため、企業や組織が真に実在するという確認が取れないと証明書が発行されません。これらの認証レベルは、なりすまし対策としても効果的で高い安全性を担保します。
有料・無料SSLどちらのタイプもある「ドメイン認証」は、サイト運営元の審査や確認を行わず証明書が発行されます
認証レベル | EV認証 | 企業実在認証 | ドメイン認証 |
セキュリティ 強度 | いずれも同等 | ||
認証レベル | ☆☆☆ | ☆☆ | ☆ |
認証項目 | ドメイン名の利用権 組織の法的・物理的実在性など | ドメイン名の利用権 組織の法的実在性 | ドメイン名の利用権 |
特徴 | より詳細な組織の実在確認による最高レベルの認証 | 証明書情報に組織名が記載 サイト信頼性アップ | 低価格スピード発行 個人事業主の取得も可能 |
2. コスト
「EV認証」・「企業実在認証」は、第三者機関の審査や確認が必要で、当然ながら高コストとなります。
一方、低コストで導入可能な「ドメイン認証」の有料SSLでは「EV認証」や「企業実在認証」と比べると信頼性は劣ります。
無料SSLの「ドメイン認証」の場合は、無料で導入することも可能です。しかしながら証明書の発行手続きや設定をすべて自社で行う必要があり、ホームページだけでなくサーバーの知識もないと実装は困難といえます。
3. サポートの有無
SSLを利用するうえで困ったことやトラブルが起こった際に、有料SSLではカスタマーサポートにて手厚いサポートを受けられることがあります。
しかし無料で導入できるSSLではこうしたサポート体制がないため、問題が起こった場合には自力で解決できる体制を社内に構築する必要があります。SSLのトラブル対応に対するノウハウがないのであれば、実績のある代行業者に依頼するのがベストです。
有料SSLのメリット・デメリット
メリット
- 企業の信頼性を強調
有料SSLは企業サイトの信頼性をアピールでき、ユーザーと企業の双方にとって安全で快適なホームページ環境を構築できます。
たとえば金融機関や大規模なオンラインショップなどのように重要な個人情報をやり取りする業界には、十分なセキュリティ対策を講じた高レベルな認証のホームページが不可欠です。 - 手厚いサポート体制有料SSLの中には専門のカスタマーサポート体制を築いており、問題が発生した際に迅速かつ効果的に対応してもらえるサービスも存在します。SSLに関して緊急を要するトラブルが起こった際には、スピーディな対応で解決に導いてくれるでしょう。
デメリット
- 「EV認証」や「企業実在認証」の場合、高コスト「EV認証」や「企業実在認証」は第三者機関の審査や手厚いサポート体制が含まれるため、高額な導入費用となります。「企業実在認証」は年間数万円程度が相場で「EV認証」になると年間20万円程度、場合によってはそれ以上の価格となるケースもあります。
「ドメイン認証」の有料SSLであれば、上記の高額な認証方式と比べると安価で導入可能です。 - 手動更新が必要「EV認証」や「企業実在認証」では、1年~2年の一定期間での手動更新が一般的です。これは企業が実際に存在し続けていることを認証局が確認するため、一定期間での更新を行う必要があります。
無料SSLのメリット・デメリット
メリット
- 低コスト
無料SSLは当然ながら無料で提供されるため、認証自体には費用がかかりません。
しかし証明書の申請やホームページ・サーバーの設定などは代行業者に依頼するケースが一般的です。その場合は代行作業費が発生しますが、それでも有料SSLと比べると低コストで導入可能です。
代表的な無料SSLのサービス「Let’s Encrypt(レッツエンクリプト)」は「より安全でプライバシーを尊重するWebを作りたい」というミッションを掲げ、日本でも多くの導入実績を誇ります。
従来は有料であったSSLサービスを無料で提供できるのは、活動に賛同したFacebookなどの大手企業からの出資を受けている非営利団体がサービスを運営しているからです。「Let’s Encrypt」の証明書の発行数は2021年の時点で10億件に達したと公表されており、現在世界でもっとも大きいシェアを持つ無料のSSLサービスへと成長しています。
参考ページ:Let's Encrypt Has Issued a Billion Certificates(Internet Security Research Group(ISRG))
- 審査もなくスピーディに導入
有料SSLに比べて煩雑な手続きや審査の実施期間がないため、スピーディに導入できます。「Let’s Encrypt」では運営のコストを削減するために、証明書の発行手続きを自動化しています。つまり有料SSLのように人的な審査や確認が不要なので、迅速に証明書を発行できる仕組みなのです。
デメリット
- 信頼性の面では有料SSLには及ばない
無料SSLは通信の暗号化という最低限必要なセキュリティ要件のみを満たすもので、更なる信頼性・安全性を示すものではありません。よってなりすまし対策を重視している企業や信頼性を強調したい場合には、有料SSLを使用しましょう。 - トラブル対処の知識が必要
無料SSL「Let’s Encrypt」では独自ルートの証明書を発行しています。よって証明書の有効期限切れなどが発生した際に、自社で証明書の更新などの手続きが必要になるケースがあります。
更新を行わないと古いデバイスやブラウザでは、今まで閲覧できていたWebサイトが閲覧できなくなるなどの事態が発生する可能性があるためです。
また、過去には「Let's Encrypt」独自の特殊な証明書移行方法により、セキュリティソフトがWebサイトへのアクセスを遮断した例もあります。
参考ページ:FortiGate特定のWebサイトが証明書期限切れと表示される現象ついて(Canon)
証明書の更新や移行などは事前に公式よりアナウンスはありますが、対処できるスキルがないと難しいのが現状です。こうしたトラブル対応が必要な場合も見据えて、ノウハウのあるSSL導入の代行業者に依頼することをオススメします。 - 手厚いサポート体制がない
無料でSSL証明書が発行できることと引き換えに、手厚いサポート体制はありません。SSL導入に関する証明書の発行・設定などすべてを行うとなると、結構な作業量となります。また、ミスがあるとコンテンツが表示されないなどの不具合が生じることもあるのです。
他にも困りごとやトラブルが起こった際には、自分たちで解決策を調べながら対処する必要があります。無料SSLの導入代行を利用する場合は、トラブルに対応できるアフターサポートの有無も検討材料とするとよいでしょう。
中小企業のSSL化の必要性
SSL化で訪問者の安全を確保する
近年では顧客情報の流出やフィッシング詐欺被害のニュースはたびたび報道されています。 こうしたセキュリティ上の脅威となる事象が発生した場合は、訪問者のみならず企業へのダメージも深刻です。
長い時間をかけて築き上げてきた顧客からの信頼も、失うのは一瞬です。
インターネット利用者のセキュリティに対する関心は年々高まっており、個人情報を入力するページでは8割以上が「必ずSSL対応にすべき」と回答しています。
こうした利用者の声からも、SSL化は中小企業のサイト運営にも必須と言えるセキュリティ対策です。
SEO(検索エンジン最適化)にプラスの影響を与える
Googleは「検索順位の評価要因としてSSL化を含める」と公式に発表しています。そして2018年からはSSL化されていないサイトにGoogle Chromeで警告を表示するようになりました。
これは世界のWebサイトのSSL化を促進し、セキュリティを強化させることで、ユーザーにとって安全なWeb環境を提供できるためです。
SSL化はサイトの信頼性向上だけでなく、ホームページの集客において重要な施策であるSEO(検索エンジン最適化)の面でも貢献します。
SSL未対応だと機会損失につながる
先述したようにSSL未対応ではブラウザのアドレスバーに“保護されていない通信”と表示されるため、ユーザーは簡単にホームページの安全性をチェックできます。
このブラウザの仕様によりSSL未対応だとユーザーはセキュリティに不安を感じ、すぐにサイトを離脱することも少なくありません。
会社の看板や名刺でもあるホームページは、安全性が重要な指標のひとつです。ユーザーの信頼を得て売り上げや集客につなげるホームページとするためには、中小企業でもSSL化は欠かせない対策となっています。
自社ビジネスに最適なSSLを選択する
有料SSL・無料SSLについてご紹介してきましたが、それぞれの特性をしっかり理解して自社のビジネスに適したSSLを選ぶことが大切です。
中小企業ではもっとも高額な「EV認証」ほどの認証レベルが必要なケースはごく一部で、組織の法的実在性を示せる「企業実在認証」や手軽に導入できる「ドメイン認証」が一般的です。
SSL対応の際はコストと導入のメリットを天秤にかけて、SSL化することをオススメします。
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独自SSLの導入には専門知識が必要ですが、弊社が提供している中小企業向けのホームページ作成ソフト「おりこうブログ」では、標準で無料SSL導入プランをご用意しています。またご希望があれば、より高い安全性を示せる有料SSLもオプションとして導入可能です。
他にも最新のPHP8への準拠に加え、不正アクセスを遮断するWAF(ウェブ・アプリケーション・ファイアウォール)を標準で提供しますので、ホームページに安心・安全なセキュリティ環境を構築できます。
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中小企業のホームページでSSL対応を検討している方は、ぜひ以下のページから詳細をご覧ください。