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『とにかく「わかりやすい」スライドデザインの基本とアイデア』 Webデザイン参考書籍レビュー

更新日:2024.08.30
『とにかく「わかりやすい」スライドデザインの基本とアイデア』Webデザイン参考書籍レビュー
ホームページやデザイン制作に役立つ書籍を紹介する、書籍レビューコンテンツ。今回は『とにかく「わかりやすい」スライドデザインの基本とアイデア』(著:鈴木潤、茂木香菜絵)の読みどころやポイントを紹介します。
本書は、スライド作成における基本から応用まで、具体的な事例を交えながら丁寧に解説しています。「わかりやすいプレゼンテーション資料を作りたいけど、デザインが苦手…」そんな方にぴったりの一冊です。

特に重要なポイント・内容

スライドデザインの3階層

スライドデザインの3階層
「わかりにくいスライド」はこの3階層のどれかの要素が足りていません。不足している箇所を見極め、それぞれ改善していくことでわかりやすいスライド作りに一歩近づけるでしょう。

  • 「表層」…見た目の印象を大きく左右する色やフォント、レイアウトなどのデザインを整える
  • 「図解」…文字だけでは伝わりにくい文章を、グラフや図に構造化する
  • 「構成」…資料で伝えたいコンセプトや情報を整理する

例:「表層」の要素が不十分で、見にくい資料になっている
フォントや配色などの「表層」を整えるだけで、見やすいスライドになる

1枚のスライドに掲載するデータや図はすべて「ひとつのメッセージ」に収束させる

ひとつの資料に、いろんな情報を盛り込むと、「何を言いたいのか」が分かりにくくなってしまいます。1枚のスライドに対して、掲載するデータや図はすべて「ひとつのメッセージ」にまとめましょう。そうすることで、別の文脈にも流用しやすく、盛り込んだスライドより汎用性が高くなります。

1枚のスライドに掲載する情報は、「ひとつのメッセージに」収束させる

PREP法でストーリーを設計して、伝えたい内容を明確にする

PREP法は結論を最初と最後に述べるため、主張が明確になり、読み手にとって理解しやすい文章を作成できます。また、このフレームワークはプレゼンテーションや報告書、メールなどさまざまなビジネスシーンにも最適です。

  • P(Point): 結論を述べる
最初に、話の結論や主張を簡潔に述べると、読み手に何を伝えたいかが明確になる。
例:「このプロジェクトは成功すると考えます。」

  • R(Reason): 理由を説明する
次に、結論を支持する理由を説明する。なぜその結論に至ったのかを具体的に示すことで、説得力が増す。
例:「市場調査の結果、需要が高いことが確認されています。」

  • E(Example): 例や証拠を示す
理由を補強するために、具体的な例やデータ、実際の事例を提示すると、主張がさらに説得力を持つ。
例:「例えば、昨年同様の製品を発売した際、売上が30%増加しました。」

  • P(Point): 結論を再度強調する
最後に、再度結論を述べ、相手に印象を強く残す。話の最初と最後に同じ結論を述べることで、メッセージがしっかりと伝わるようになる。
例:「以上の理由から、このプロジェクトは成功すると確信しています。」

図解を作成する際は、文章の助詞や接続詞に着目して、要素の関係性を明確にする

文章を可視化すると、情報が視覚的に整理され、構造や関係性が一目で把握できるようになります。
文章の各要素がどのような関係性かを明確にするために助詞や接続詞に着目すると、より読み手に伝わりやすい図解を作成できるでしょう。
可視化すると、文章の意味が理解しやすい

要素と要素を矢印でつないだり、矢印に要素を乗せたりして、流れを表現する

複雑な手順や関係性を矢印で表現することで、全体の順序や各要素の意味が明確になり、理解しやすくなります。伝えたい内容に合わせて、矢印の向きや種類を使い分けましょう。
順序を表す図
相互の関係性を表す図
PDCAのサイクルを表す図

写真、イラスト、ピクトグラムで表現する

写真やイラスト、ピクトグラムは一目で情報を伝えられるため、説明を省略しつつも効果的にメッセージを伝えることが可能です。文字や図と併せてこれらの画像を使いこなすと、視認性と読み手の理解度が格段と上がるでしょう。
人物の写真は、著作権などのトラブルにつながる恐れがある
【写真】
メリット:最も具体的、情報量が多い
デメリット:特定の商品、人物等を指し、著作権などのトラブルにつながるリスクがある
イラストは、抽象的で余計な具体性は持たずに済む
【イラスト】
メリット:写真よりは抽象的、余計な具体性を持たせずに済む
デメリット:質感やリアリティは伝えられない
ピクトグラムは、抽象的で文字の代わりに使える
【ピクトグラム】
メリット:最も抽象的、文字の代わりに使える
デメリット:複雑な説明には向かない、単調で他社とかぶりやすい

色の調和は色相、明度、彩度の組み合わせが重要

色相、明度、彩度の調整は、視覚的なバランスを整え、統一感を持たせます。また、視認性や可読性を向上させ、強調や対比を表現するうえでも配色の選び方は非常に重要です。
鮮やかな色は視認性が高い
【鮮やかな色の特徴】
  • 視認性が高い
  • 広い面積に使うと主張が強く、目が疲れてしまう
淡い色は文字色だと読みづらいため、背景などに使用されることが多い
【淡い色の特徴】
  • 広範囲に使って印象づけることができる
  • 白地とのコントラスが弱く、文字色には使いにくい
暗い色は、白抜き文字の背景色として使用すると視認性が高くなる
【暗い色の特徴】
  • 文字色にも部分的に使用することができる
  • 全体に使いすぎると暗い印象になる

文章を整列させて、読みやすい順序を作る

文章や画像が整列されていないと、どこから読めばいいか混乱してしまいます。しかし、整列された文章は自然と正しい順序に視線が行くため、読み手は理解しやすくなります。

また、資料作成では基本的に左揃えや中央揃えが使われますが、料金や数値を記載する場合は右揃えがおすすめです。右揃えにすることで、料金や数値が桁ごとに揃い、比較や計算がしやすいです。
整列させることで、視認性の高いスライドになる

用途に合わせてジャンプ率を意識する

フォントサイズに強弱をつけると、読み手に取ってどの文章が最も重要なのか、瞬時に理解することができます。

また、下の図のようにジャンプ率が高い資料は、メリハリがあり自然とタイトルに視線が行きます。インパクトが必要なチラシや表紙に向いているでしょう。

通常のスライド資料においては、見出しと本文のジャンプ率を高くしすぎず、少なくとも4pt以上は差をつけると読みやすくなります。用途に応じて、フォントサイズを調整しましょう。

※ジャンプ率とは、「本文のフォントサイズに対する見出しフォントサイズの比率」のこと。
用途に応じてジャンプ率を意識すると、わかりやすいスライドに一歩近づける



スライドデザインの基本から応用まで、徹底的にカバーされた本書は、初心者からプロまで役立つ一冊です。明日からすぐに活用できる知識が詰まっており、わかりやすく伝える力がぐっと向上するでしょう。この本のヒントを参考に、次のプレゼンで一歩進んだスライドデザインを試してみませんか?
とにかく「わかりやすい」スライドデザインの基本とアイデア

とにかく「わかりやすい」スライドデザインの基本とアイデア

  • 作者:インクデザイン株式会社 鈴木潤 茂木香菜絵
  • 出版社:翔泳社
  • 発売日: 2024年06月26日頃
 この記事を書いた人
田中
田中
株式会社ディーエスブランド Webデザイナー
ディーエスブランド入社後、各種Webサイトやランディングページ、メールマガジンのバナーなど、さまざまなデザイン制作に携わる。その他にも、DSマガジンのデザイン関連の記事を中心にライティングを担当。