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製造業の自社の強み・選ばれる理由の見つけ方・書き方を具体例で解説

更新日:2025.06.06
製造業の自社の強み・選ばれる理由の見つけ方・書き方を具体例で解説
金属加工・樹脂加工などの受託加工系の製造業ホームページでは、「自社の強み・選ばれる理由」などのコンテンツを用意するのが、新規顧客・取引先を獲得するうえで効果的です。

しかし「ウチの会社にはそんな特別な強みなんてないよ…」と気後れしている方も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、自社の強み・選ばれる理由の作り方・書き方を初心者向けに紹介します。

ホームページを活用して新規顧客を獲得したい方、売上げをアップしたい方は、ぜひご覧ください。

自社の強み・選ばれる理由コンテンツの重要性

自社の強み・選ばれる理由コンテンツの重要性
製造業ホームページで自社の強み・選ばれる理由などのコンテンツが重要なのは、コンバージョン率や受注率に大きな影響を与えるからです。

金属加工・樹脂加工などを委託する会社を選定するために、製造業ホームページにアクセスする訪問者は、常に複数の会社を比較しています。

そこで競合他社ではなく自社を選んでもらうためには、明確な理由が必要になります。

さらにBtoB企業では新規の外注先に依頼する際には、社内での稟議や手続きなどが必須になります。複数人のビジネスパーソンによる審査を経ることになりますので、「なんとなく良さそう」というイメージだけではなく、「この会社を選ぶべき確固たる理由」がないと、稟議には通りません。

そこで役に立つのが「自社の強み・選ばれる理由」コンテンツです。

自社ならではの特徴を明確に示すことで、訪問者からの依頼を獲得しやすくなるだけでなく、その後のクライアント企業での稟議の通過率もアップしやすくなります。

「自社の強み・選ばれる理由」コンテンツは、お問い合わせや無料相談などのコンバージョンの獲得率や受注率にも影響するわけです。

参考ページ:コンバージョン(CV)とは? Webマーケティングでの意味をわかりやすく解説
参考ページ:コンバージョン率(CVR)とは? 意味と重要性、計算方法を解説
参考ページ:企業ホームページのお問い合わせ数・新規商談獲得数を増やす基本

「自社の強みや選ばれる理由」は、顧客の課題解決と結びつけないと意味がない

顧客は自分たちのお悩みや課題を解決すること以外には、興味・関心を持たない

顧客は自分たちのお悩みや課題を解決すること以外には、興味・関心を持たない
先述したように「自社の強み・選ばれる理由」コンテンツは、コンバージョン率や売上げにも直結しますが、ここで重要なのは自社目線だけで考えた独りよがりの「特長」では意味がないという点です。

自社の強みや選ばれる理由は、かならず顧客のお悩みや課題の解決と結びつけてください。

顧客はみなさんの会社や製品自体にはあまり興味がなく、あくまで「自分たちの悩みや課題をこの会社は解決してくれるのか?」という視点でしか見てくれないからです。

コンテンツマーケティングの草分け的存在である、ジョー・ピュリッジは以下のように述べています。

『顧客はあなたのことも、あなたの製品やサービスのことも全く気にかけていない。彼らが気にするのは、結局は自分自身のこと、彼ら自身の欲求やニーズだけである。』

つまり顧客の意識を惹き付けて受注につなげるためには、「私たちなら、あなたたちが抱えているそのお悩みや課題を解決できますよ!」とパッケージングして自社の強みを表現しなければなりません。

顧客のお悩み・課題解決に直結する、自社の強み・選ばれる理由の具体例

たとえば金属のプレス加工をメインにしている会社があるとします。

【ダメな自社の強みの例】
精度の高いプレス加工が得意です

これだけではどれだけ精度が高いのかも不明瞭ですし、それが顧客のビジネスにどう役立つのかもわかりません。

【効果的な自社の強みの例】
弊社は最小寸法公差±10μmを実現する精密プレス加工を得意にしています。そのため従来では切削加工でしか不可能だった部品の製作も、プレス加工で量産化できます。「コストを削減したいので、切削加工からプレス加工に置き換えたい」という方は、ぜひ一度ご相談ください。

以上のように、「どれだけ精密なのか(具体的な数字を出す)」「その精密さはどのように役立つのか?」「顧客のビジネスにどんな利益があるのか」を明確にして、自社の強み・選ばれる理由を表現することで顧客の反応は大きく変わります。

※なお、顧客を効率的に集客するノウハウについて以下の資料でまとめておりますので、興味のある方はぜひご覧ください。

自社の強み・選ばれる理由の見つけ方

それでは、自社の強み・選ばれる理由の見つけ方・書き方を紹介していきます。

【製造業の自社の強み・選ばれる理由の作り方・書き方】
  1. 自社分析して、過去のお客様からどんな相談を受けてきたか洗い出す
  2. 顧客へのヒアリングが、もっとも確実な自社の強みの見つけ方
  3. 競合他社のホームページを参考にする
  4. 自社の強みは、お客様のQCDの改善にどう役立つのかを表現する
  5. トラブル・課題の解決策を詳細に書く


それぞれ具体的にこれから解説していきます。

1.自社分析して、過去のお客様からどんな相談を受けてきたか洗い出す

製造業の自社の強み・選ばれる理由の見つけ方・書き方を具体例で解説
自社の強み・選ばれる理由を見つけるために、まずは自社分析をしましょう。
具体的には、過去にお客様からどんな相談を受けてきたかを洗い出してみます。

もし自分が総務などのお客様とあまり関わらない部署に所属している場合は、営業担当者などに協力してもらってください。

【過去のお客様からの相談を分析する際のポイント】
  • お客様はどんなお悩み・課題を抱えていて自社に相談してきたのか?
  • それを解決した結果、お客様にはどんな利益(コストやリードタイムの削減、歩留まり改善など)が発生したのか

以上をできるだけ精密にピックアップして言語化してください。

そのなかでも、スムーズに見積りが通って受注できた案件に注目してみましょう。

厳しい価格交渉も起こらず、すんなり受注できた案件には、自社ならではの特長や強みが背景にあるケースが多いです。

自社のどんな特長がお客様に響いたのか精査していけば、他社にはない強みを探り出せます。

2.顧客へのヒアリングが、もっとも確実な自社の強みの見つけ方

自社の強みや選ばれる理由を見つけるための、お客様へのインタビュー質問例

自社の強みや選ばれる理由を見つけるための、お客様へのインタビュー質問例
自社の強みや選ばれる理由を確実に見つける方法が、実際に現在取引をしているお客様へのインタビューです。

自社の主要な取引先に以下のような質問をしてみるとよいでしょう。

【自社の強みや選ばれる理由を見つけるための、お客様へのインタビュー質問例】
  • 「弊社を選んでいただき、取引を継続していただいている理由はなんでしょうか?」
  • 「他にも弊社と同じようなサービスを提供している会社はあると思いますが、弊社を選んでいただいている理由はなんですか?」
  • 「どんなお悩みや課題を解決したいと考えて、弊社にお声がけいただいたんでしょうか?」
  • 「品質面や精度、納期はご満足いただけていますか?」
  • 「他社と比べて弊社は決して安いわけではないですが、それでもご発注されている理由を教えてください」

自社の想像では決してわからない、リアルな生の声を聞けるはずです。

自社が強みと認識しているポイントと、顧客が評価しているポイントのギャップに注目する

また、ヒアリングしていくなかで、自社が強みと認識しているポイントと顧客が評価しているポイントにズレがあるということも出てくるはずです。

たとえば自社では「切削加工の精密さが私たちの強みだ」と認識していたのに、顧客側は「切削加工だけでなく、熱処理加工や測定まで含めて一気通貫で依頼できるのが便利だ」と考えていた…などのケースです。

そうすると、実際のお客様に訴求しやすい新たな強みを発見できますので、この評価ポイントのズレは決して見逃さないようにしましょう。

※なお、お客様インタビューの内容をもとに、加工事例・導入事例などのコンテンツを作るのも効果的です。以下から詳細をご覧ください。

参考ページ:BtoB製造業ホームページの加工事例・導入事例ページの作り方・書き方
参考ページ:【BtoB】導入事例・お客様事例の書き方と依頼・インタビューのポイント
参考ページ:お客様インタビューの方法・質問文例・テンプレート【BtoC・BtoB】

3.競合他社のホームページを参考にする

競合他社のホームページを参考にする
さらに、自社の強みや選ばれる理由を作成するうえで効果的なのが、競合他社のホームページのチェックです。

「チタン 切削加工」・「PP(ポリプロピレン) 試作」などの自社のサービスと共通するキーワードで検索し、上位に表示されている会社のホームページをすみずみまで閲覧してみてください。

「この表現はうまいな。自分では思いつかなかった」、「この見せ方はわかりやすいな」といった発見がいくつもあるはずです。

一方、「いろんな競合他社のホームページを見てみたけど、●●について触れている会社はなかったな。そこは逆に自社のアピールポイントになるかも」という気付きもあるかもしれません。

そのような競合他社に不足しているポイントは、自社の強み・選ばれる理由を押し出すうえで活用できますので、ぜひ注目してみてください。

参考ページ:競合他社のホームページに勝つ方法・対策と、差別化のポイントを解説

※なお、競合他社のホームページを分析する過程では、自社サイトの欠点もいくつも発見できると思います。成果を出すためのチェックリストを以下からダウンロードできますので、ぜひこちらもご覧ください。
【お役立ち資料】初心者でもわかる! 成果を出すためのWebサイト改善チェックリスト

4.自社の強みは、お客様のQCDの改善にどう役立つのかを表現する

自社の強みや選ばれる理由を洗い出したら、それらがお客様のQCD改善にどう役立つのかを表現していきましょう。

QCDとは、Quality(品質)・Cost(コスト)・Delivery(納期)の略で、製造業で大事な要素をまとめたものです。

BtoB製造業においては、自社の製品・サービスがお客様のQCDを改善しなければ、発注してもらうことはできません。

精度の高さや幅広い素材に対応できる点などをアピールし、顧客のQuality(品質)を改善する

精度の高さや幅広い素材に対応できる点などをアピールし、顧客のQuality(品質)を改善する
【Quality(品質)改善の例】
  • ±10μmの精度を実現! ノギス、マイクロメータ、三次元測定機、形状測定機、表面粗さ・輪郭形状測定機などを活用した、徹底した納品前検査があるので安心
  • チタン・インコネル・モリブデン・ハステロイなどの難削材の加工が得意! 顧客からの図面に見慣れない材質の記載があれば、弊社にご相談ください!
  • 既存のプレス加工機で対応できない部品でも、専用機を開発・製造して生産ラインを構築します! 「他の会社で無理だと断られた…」という方もぜひお気軽にお声がけください!
  • 透明度と寸法精度を両立したアクリル加工を実現! 流体観察や内部を可視化する部品をお求めの方はご依頼ください!
  • 試作の段階から弊社の技術者が伴走支援するので、安心です

部品素材の置き換えや加工方法の転換などで、顧客のCost(コスト)を改善する

部品素材の置き換えや加工方法の転換などで、顧客のCost(コスト)を改善する
【Cost(コスト)改善の例】
  • 金属部品から樹脂部品への置き換えならお任せください! 求められる性能を維持したまま、軽量化やコスト削減を実現します!
  • 弊社の精密打ち抜き加工なら、ミクロン単位の加工が可能なだけでなく、高速で打ち抜くので量産性に優れており、コストも削減できます!
  • 難削材・特殊鋼を利用した部品によって、耐久性・耐摩耗性を向上させ長寿命化を実現します。これによりランニングコストの低下が可能です。

加工方法の転換や一気通貫の対応などで、顧客のDelivery(納期)を改善する

加工方法の転換や一気通貫の対応などで、顧客のDelivery(納期)を改善する
【Delivery(納期)改善の例】
  • 通常はロボット溶接が難しい部品でも、図面検討によってロボット溶接を可能にしてリードタイムを削減します
  • 現在、切削加工で製作しているためリードタイムが長い部品も、曲げ加工とレーザー溶接によって板金化が可能! これにより短納期を実現します!
  • サイズの大きい部品の製作も弊社の真空注型なら対応可能! 切削加工だとコストがかかりすぎる部品も、安価かつ短納期・小ロットで提供します!
  • 切削加工だけでなく、熱処理加工や測定まで含めて一気通貫で対応しますので納期を短縮できます!
  • 弊社の金型洗浄機を導入すれば、たった10分で成型前の綺麗な金型に復活! 手作業で洗わなくて済むので、生産ラインをストップする時間を大幅削減します!


以上のように、自社の強み・選ばれる理由をQCDに関連付けて言語化すれば、お客様に響きやすいコンテンツになります。

5.トラブル・課題の解決策を詳細に書く

新規の外注先を探しているメーカーは、かならず何らかのトラブルや課題、お悩みを抱えている

新規の外注先を探しているメーカーは、かならず何らかのトラブルや課題、お悩みを抱えている
新規外注先を探しているメーカーは、「既存の外注先では対応できない技術的問題が発生した」・「既存の外注先は不具合が多く、品質に満足できない」といった理由で解決策を探しています。

代表的なトラブルや課題には以下のようなものがあります。

【新規の外注先を探しているメーガーが抱えているトラブル・課題・お悩みの例】
  • 既存の部品では破損などのトラブルがたびたび起こるので、別の外注先の部品で解決できないか知りたい…
  • 既存の外注先から、「このロット数だと少なすぎてウチでは無理」と言われた…
  • クライアントからの図面で、既存の外注先では取り扱ったことのない素材が指定されていた…

以上のような、トラブル・課題を自社なら解決できることをホームページ上でアピールすれば、お問い合わせに直結するアクセスを獲得できます。

トラブルに関するキーワードを含めてページを作成することで、GoogleやYahoo!などの検索エンジンから集客しやすくなる

解決策の提示としては、以下のようにサービスの特徴をわかりやすくまとめるのが、オーソドックスな手法です。

【トラブル・課題の解決策の提示例】
  • チタン・モリブデンなどの難削材の精密加工にも対応! 『他の会社に加工を断られた』という方も、安心してご相談ください!
  • 小ロット・短納期のプレス加工でも対応可能ですので、まずはご相談ください

あるいは、製造現場のトラブルに注目して、それらのキーワードを盛り込んだページを作成するのも、GoogleやYahoo!などの検索エンジンから集客しやすくなるのでオススメです。

検索エンジンから集客する手法をSEO(検索エンジン最適化)と呼びます。トラブルに関するニッチなキーワードは、検索回数は少なくてもニーズがある顧客を着実に集客できますので効果的です(スモールキーワード)。

【トラブルに関するキーワードの例】
熱暴走・液漏れ・クリープ破壊・腐食摩耗…など

【課題解決のエピソード紹介例】
「お客様はもともと他の外注先の部品を使っていましたが、腐食が激しいので寿命が短く、メンテナンスのコストと設備の稼働を止める時間がたびたび発生するのがネックになっていました。そこで弊社の部品を使うようにしたところ、大幅な長寿命化に成功したためコストを大幅に削減できました」

自社の強み・選ばれる理由を明確にすることで、新規お問い合わせや引き合いを獲得しやすくなる

自社の強み・選ばれる理由を明確にすることで、新規お問い合わせや引き合いを獲得しやすくなる
ここまで、製造業ホームページでの自社の強み・選ばれる理由コンテンツの作り方・書き方について解説してきました。

自社の強み・選ばれる理由をわかりやすく言語化すれば、現状の課題・お悩みを解決したい新規顧客からの問い合わせや引き合いを格段に得やすくなります。

「ウチの会社に特別な強みなんてないよ…」と感じている方も、まずはこのページの内容を参考にして、自社ならではの長所を見つけてみてください。
 この記事を書いた人
岡山 幸太郎
岡山 幸太郎
株式会社ディーエスブランド Webマーケター
ディーエスブランド入社後、営業を経験したのち自社サイトやお客様サイトのWebディレクションに携わる。現在はSEO(検索エンジン最適化)やコンテンツマーケティングなど、Webにおける集客分野を担当。また、Webセミナー講師としても活動中。

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