レビットのドリルの穴理論とは? マーケティングの基礎を簡単に解説
今回はマーケティングの考え方を知るうえで最も有名な格言のひとつ「レビットのドリルの穴理論」について解説いたします。
「ドリルを買いにきた人が欲しいのは
ドリルではなく『穴』である」
ドリルではなく『穴』である」
※マーケティング界のドラッカーと称されたアメリカの学者レビットの
著書『マーケティング発想法』(1968年)で紹介されたもの。
著書『マーケティング発想法』(1968年)で紹介されたもの。
お客様が欲しいものは、本当にドリルなのか?
あるホームセンターにドリルを買いに来店した男性がいました。
店内を探しても見つけることができずに、店員さんに尋ねます。
男性「6mmのドリルはありますか?」
店員「あいにく品切れです」
男性「・・・・。(それを聞いて帰ってしまう)」
この会話の中から、お客様の本当のニーズは、何だったのか考えてみてください。
買い手の視点で考える
先ほどのやりとりの中で、「それは何をするための穴ですか?」(材質は?数は?誰が?など)とヒアリングできていれば、お客様のニーズは満たせていたかもしれません。
少量の穴であれば“キリ”で十分であったでしょうし、”穴あけサービス”や“穴の開いた板”の販売でよかったのかもしれません。
あくまでお客様の欲求は「ドリルを買うこと」ではなく「穴を開けること」ということです。
私たちはついつい売り手の都合で考えがちです。
そのため、ドリルを買いに来たお客様には、回転数などの性能を説明してしまいますが、買い手視点で考えた場合、実はそういった説明よりも、課題解決の方法を求めているのです。
ホームページのコンテンツも見直してみましょう
皆さんのホームページでは、サイト訪問者の課題を解決できるコンテンツは用意されていますか? 単に商品やサービスの説明を掲載しているだけではありませんか?
サイト訪問者が知りたいのは、「製品・サービス」そのものだけではなく、それらが与えてくれる“ベネフィット”です。
しかも、訪問者によってその目的や背景は異なります。
各訪問者のニーズ充足度を高めるには、さまざまなケースを想定して目的別にコンテンツを用意するなど、顧客視点での工夫が必要となってきます。
顧客視点をチェックできる8つの質問
自分が顧客視点をきちんと保持できているかどうか、あるいは自社のホームページに顧客視点に沿ったコンテンツが用意されているかどうかは、以下の8つの質問に対して明確かつ詳細な回答ができるかで判断できます。
- ターゲットとするお客様は一般消費者ですか? それとも企業・団体などの法人ですか?
- 自社の商品・サービスを購入すると、お客様はどんな効果や結果を得られますか?
- その効果を求めているお客様は、現在どんな要望やお悩みを持っていますか?
- お客様がその要望・お悩みを持つに至った背景は何ですか?
- 競合他社の似たような商品・サービスではなく、みなさんの会社からお客様が購入すべき理由は何ですか?
- 商品・サービスの購入を検討しているお客様が疑問に思う点や不安に感じている点(購入を妨げているポイント)は何ですか? つまり、購入前のお客様が知りたいと思っている情報は何ですか?
- (企業・法人がターゲットの場合) お客様が自社の商品・サービスの購入の決裁を通す際に、必要な情報は何ですか?
- お客様が商品・サービスの購入を先延ばしにすべきではない理由、つまり今すぐ購入すべき理由は何ですか?
これらの作業を進めていけば、どのような情報を顧客が欲しているかも明瞭に推測できます。
もし、みなさんがあまりお客様と関わらない部署に所属しているときは、営業社員や販売スタッフなどに協力してもらって、以上の質問項目の回答を埋めていってください。
※なお、企業ホームページのターゲットの想定方法について以下のページでも詳しく解説しています。
顧客の役に立ち、喜ばれるオススメコンテンツとは?
検索エンジン経由で訪れる方は、課題や悩み事を解決したいために検索をしています。
「お客様の声」や「よくある質問」のページを用意することは、お客様視点でコンテンツを考えるよいきっかけとなるだけでなく、サイト閲覧者のニーズを満たしやすいと言われています。
また、売り込みではない「プロフェッショナルならではの知識を解説するコンテンツ」の充実化もオススメです。
たとえばペットショップであれば「初めて犬を飼うときにオススメの犬種ベスト5」や、工務店であれば「バリアフリーリフォームを税額控除で利用する方法」などの解説ページです。
従来の「製品紹介」や「サービス紹介」とあわせて、ぜひ掲載してみてください。
従来の「製品紹介」や「サービス紹介」とあわせて、ぜひ掲載してみてください。
※なお、このようにターゲットや見込み顧客が求めている情報を発信することで集客する手法のことを、コンテンツマーケティングと呼びます。
コンテンツマーケティングは現在のSEO(検索エンジン最適化)とも密接に結びついており、広告を利用せずにWeb集客したい場合はほぼ必須のマーケティング手法といえます。詳しく知りたい方は、以下のページをご覧ください。
まとめ
「レビットのドリルの穴理論」は、「顧客志向」の重要性を認識させる考え方です。
お客様が『本当に欲しいものは何か』を想像することから始めましょう。
お客様が『本当に欲しいものは何か』を想像することから始めましょう。
※なお、以下で顧客の役に立ちYahoo!やGoogleで検索上位も獲れるコンテンツの作り方を詳しく解説しているページや、「レビットのドリルの穴理論」を深掘りする参考ページ・参考書籍・オススメ本を紹介しているのでぜひこちらもご覧ください。
P&Gのブランドマネージャーをされていた方がマーケティングの本質についてまとめているページで、無料で読めることに驚くほどのクオリティとわかりやすさです。「ドリルの穴(顧客が解決すべき課題)」をJobという言葉でより深掘りしています。
レビットのドリルの穴理論をより詳しく知るための参考書籍
まさしく『ドリルの穴理論』をタイトルに冠し、その本質をマーケティング初心者向けにわかりやすく紹介している本です。
セグメンテーションや4Pなどのマーケティング基礎のフレームワークも、堅苦しくなく地に足が着いた文章で紹介されているので、マーケティング全体の入門書としてもオススメです。
「レビットのドリルの穴理論」をWebマーケティングに応用する際のベストの一冊です。
Webサイト全体の戦略立案について初心者向けに書かれている本で、運営・マーケティング業務を進めるうえでとても参考になります。
とくに「レビットのドリルの穴理論」で着目される顧客のベネフィットについての分析や、それを競合他社分析と組み合わせた3C分析については、豊富な例とともに綿密にわかりやすく解説されており、これを熟読するだけで企業のWebマーケティングに必要な考え方が身につくでしょう。
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とくに「レビットのドリルの穴理論」で着目される顧客のベネフィットについての分析や、それを競合他社分析と組み合わせた3C分析については、豊富な例とともに綿密にわかりやすく解説されており、これを熟読するだけで企業のWebマーケティングに必要な考え方が身につくでしょう。
また、「自分たちが気付いていない競合を見つける」「検索キーワードは群で見る」「売れるWebデザインは戦略を映している」などのトピックも有益な示唆に富んでいます。
単に戦略の立て方を解説するだけでなく、「立案した戦略をどのように中小企業のホームページのコンテンツに落とし込むか」の部分が多彩な実例とともに紹介されているため、とくに中小企業向けのWebマーケティング本のなかでは最良の本です。