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ランチェスター戦略とは? 弱者の戦略の解説とWebマーケティング活用法

ランチェスター戦略とは?弱者の戦略の解説とWebマーケティング活用法
  • 「自社の販売活動が伸び悩んでいる…」
  • 「強力な競合他社がいて、勝てる道筋が見つからない…」
  • 「自分の会社はマーケティングが弱いことはわかっているけど、何から始めればいいのかわからない…」

こんなお悩みはありませんか?

そんな方にオススメなのが、中小企業でも着実に売上げを伸ばせ競合他社との差を縮められるマーケティング手法、「ランチェスター戦略」です。

今では誰もが知る大企業となったソフトバンク株式会社やHISも、中小企業だった時代にランチェスター戦略を駆使することで飛躍的な成長を遂げました。

あるいは数年前から増加した「オムライス専門店」などの特定の領域に絞った店舗もランチェスター戦略を活用しています。

「弱者の戦略」とも呼ばれるランチェスター戦略と、企業ホームページを軸にしたWebマーケティングを組み合わせることで売上げアップを目指せますので、ぜひお読みください。


目次

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  1. ランチェスター戦略とは?
  2. ランチェスターの法則とは
  3. ランチェスター第一法則(接近戦・局所戦)
  4. ランチェスター第二法則(広域戦)
  5. ランチェスター第二法則(広域戦)で、人数が2乗でカウントされる理由
  6. ランチェスター第一法則・第二法則から導き出されるビジネス戦略
  7. ランチェスター戦略の基本はNo.1を目指すこと
  8. ランチェスター戦略の「弱者の戦略」では、小さなNo.1をコツコツ積み重ねることが重要
  9. 強力な競合他社に勝つには接近戦・局地戦に限定する
  10. 弱者が1位を目指すには、市場を細分化するセグメンテーションが必須
  11. 「高級食パン専門店」などの店舗はランチェスター戦略とセグメンテーションを応用した典型例
  12. エリアや顧客層によるセグメンテーションも有効
  13. HISを飛躍的に成長させた各個撃破戦略
  14. なぜWebマーケティングとランチェスター戦略は相性がいいのか?
  15. Webマーケティングはニッチな市場をターゲティングしやすい
  16. Webマーケティングはニッチ市場を日本全国・全世界のエリアで掘り起こしできる
  17. Webマーケティングは安価もしくは無料で実施できる
  18. 検索エンジンの特性を活かせば、ニッチ市場への集中と幅広い市場へのアプローチを両立できる
  19. 地方では企業ホームページをはじめ、Webマーケティングに力を入れている企業が少ない
  20. 企業ホームページの活用はランチェスター戦略のスタートに最適
  21. あわせて読みたい記事
  22. 国産ホームページサービス満足度No.1のおりこうブログで、自社サイトを開設・リニューアル!

ランチェスター戦略とは?

ランチェスター戦略とは、マーケティングを「弱者の視点」と「強者の視点」で分析して経営戦略や販売方針を立案する手法のことです。

ソフトバンク株式会社やHIS(株式会社エイチ・アイ・エス)などは、零細企業・中小企業だった時期にランチェスター戦略を実施することで大きな飛躍を遂げ、現在では日本を代表する企業にまで登りつめています。

数あるマーケティング戦略のなかでも、ランチェスター戦略は中小企業や零細企業、個人事業主でも実践しやすい点で優れています。

参考ページ:ハウステンボスを再生させた"弱者の戦略" これが「ランチェスター戦略」だ(PRESIDENT Online)
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まんがで身につくランチェスター戦略

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  • 出版社:あさ出版
  • 発売日: 2015年06月

ランチェスターの法則とは

ランチェスターの法則とは
ランチェスター戦略は第一次世界大戦時にイギリスの自動車工学・航空工学のエンジニアだったフレデリック・ランチェスターが提唱した戦闘の法則、「ランチェスターの法則」がもとになっています。

このランチェスターの法則は「第一法則(接近戦・局所戦)」「第二法則(広域戦)」の2種類に分かれます。

それでは、それぞれの法則がどんな内容なのかを見ていきましょう。

ランチェスター第一法則(接近戦・局所戦)

ランチェスター第一法則は、狭いエリアで剣や斧などの武器で戦う原始的な戦闘を想定した法則です。

【ランチェスター第一法則(接近戦・局地戦)での戦闘力の計算方法】
人数×武器効率(武器性能)=戦闘力


たとえば、以下のふたつのチームが戦った場合は以下の結果となります。

Aチーム 人数5人×武器効率3=戦闘力15

Aチーム 人数5人×武器効率3=戦闘力15 ランチェスター第一法則

Bチーム 人数4人×武器効率4=16

Bチーム 人数4人×武器効率4=16 ランチェスター第一法則

Bチームの戦闘力16>Aチームの戦闘力15 よって、Bチームの勝利

Bチームの戦闘力16>Aチームの戦闘力15 よって、Bチームの勝利 ランチェスター第一法則
このように、BチームはAチームよりも人数が少なかったのですが武器が優秀(武器効率が高い)だったため、勝利を収めることができました。

ビジネスでは 人数=営業社員の人数や広告費  武器効率=商品力・ブランド力・マーケティング力に置き換えられる

この法則を企業の販売活動に置き換えると以下になります。

  • 人数=営業社員や販売員の人数、広告費(会社の規模・資本力に強く関係する)
  • 武器効率=商品力・ブランド力・マーケティング(経営戦略のうまさに強く関係する)

つまり、県内や市内などの局地戦で競合他社に勝利するためには、営業の人数や広告費を増やすか、商品力・ブランド力・マーケティングを向上させるかのふたつの方法があるわけです。

ランチェスター第二法則(広域戦)

ランチェスター第二法則では、広い戦場で遠距離から銃で撃ち合う近代戦を想像してみてください。

【ランチェスター第二法則(広域戦)での戦闘力の計算方法】
人数の2乗×武器性能=戦闘力


先程の第一法則とちがって、第二法則では人数が2乗としてカウントされるのが特徴です。

それでは、広域戦では先ほどのAチーム・Bチームの戦闘結果がどのように変化するのか見てみましょう。

Aチーム 人数5人の2乗×武器効率3=戦闘力75

Aチーム 人数5人の2乗×武器効率3=戦闘力75 ランチェスター第二法則

Bチーム 人数4人の2乗×武器効率4=戦闘力64

Bチーム 人数4人の2乗×武器効率4=戦闘力64 ランチェスター第二法則

Bチームの戦闘力64<Aチームの戦闘力75 よって、Aチームの勝利

Bチームの戦闘力64<Aチームの戦闘力75 よって、Aチームの勝利
このように、ランチェスター第一法則(接近戦・局地戦)では、人数は劣っていても武器効率の優秀さで勝利していたBチームが、第二法則(広域戦)になると、人数の差が大きく響き敗北してしまいました。

広域戦になると、人数が如実に勝敗を分ける要素になるわけです。

ランチェスター第二法則(広域戦)で、人数が2乗でカウントされる理由

接近戦・局地戦での戦闘は一騎打ちにちかい

接近戦・局地戦での戦闘は一騎打ちにちかい
なぜランチェスター第二法則(広域戦)では人数が2乗でカウントされるのでしょうか?
これは接近戦と遠距離戦のちがいを考えるとご理解いただけると思います。

刀や槍などの原始的な武器では、1人の兵士は一度に1人までしか攻撃できません。

つまり接近戦での戦闘は一騎打ちの性質を帯びることになります。

戦うフィールドが広くなるほど、多数の営業社員数と豊富な広告費がある大企業・先行企業が圧倒的に有利になる

戦うフィールドが広くなるほど、多数の営業社員数と豊富な広告費がある大企業・先行企業が圧倒的に有利になる
それに対して、遠距離から近代兵器で撃ち合う広域戦ではどうでしょうか?
自動小銃やマシンガンなどの武器は連射が可能なので、一度に複数人の相手に攻撃できます。

そのため人数の差がより圧倒的な戦闘力のちがいになってしまうのです。

ビジネスに置き換えれば、戦うフィールドが広くなれば広くなるほど、豊富な人材や資金力を持つ大企業や先行企業が圧倒的に有利になるということです。

豊富な営業社員を抱えておりテレビCMや新聞広告、Web広告、芸能人なども活用できる大企業に、中小企業が日本全国などの広いフィールドで勝つのは至難の業でしょう。

ランチェスター第一法則・第二法則から導き出されるビジネス戦略

以上の第一法則、第二法則から考えて、以下の戦略が導き出されます。

・大企業や先行企業に圧迫されている弱者は、経営資源の差が出やすい広域戦は避けて局地戦に持ちこむ
・逆に強者は経営資源の多さを活かせない局地戦を避けて、エリア・サービスの範囲拡大を目指す

ランチェスター戦略での強者=シェアNo.1の企業 弱者=それ以外のすべての企業

ランチェスター戦略での強者=シェアNo.1の企業 弱者=それ以外のすべての企業
ここでランチェスター戦略における強者と弱者とは何かを紐解いておきましょう。

ランチェスター戦略の強者とは、特定の市場でシェアNo.1の企業のことを指します。

逆に言えば、シェア2位以下の企業はどんなに規模が大きくても弱者です。

なお、「特定の市場で」という部分も実は非常に重要です。

エリアが市内・県内、もしくは日本全国なのか、ビジネス形態がBtoCかBtoBなのかでも、市場の範囲は千変万化し、それによって弱者と強者が入れ替わることも多いからです。

もし自社が弱者か強者なのかで迷った際には、とりあえず弱者の戦略をとってください。

ランチェスター戦略の基本はNo.1を目指すこと

ランチェスター戦略の基本はNo.1を目指すこと
ランチェスター戦略における方法論は、一言でいえば特定の市場内でNo.1を達成することです。

No.1を達成すれば、以下のさまざまなメリットが手に入るからです。

  • 「●●ならこの会社」 というブランドイメージが手に入る(第一想起の獲得)
  • 口コミやSNSでも広まりやすい
  • 得意分野があることで認知されやすい
  • 信頼性が高まるので価格競争に巻き込まれづらい

どれも企業にとっては、喉から手が出るほどほしいメリットであり、売上げ拡大にも直結します。

ランチェスター戦略の「弱者の戦略」では、小さなNo.1をコツコツ積み重ねることが重要

しかし単純に「No.1になれ!」と頭ごなしに言われても、「それができれば苦労はしないよ」と感じた方も多いのではないでしょうか?

ですがランチェスター戦略でのNo.1とは、自動車業界におけるトヨタやハンバーガーショップでのマクドナルドのように、数千億・数兆円の市場で1位になることをかならずしも意味しません。

むしろランチェスター戦略が重視しているのは、極めてミクロな市場で1位を獲得することです。

「小さな1位」をコツコツと積み重ねることこそがランチェスター戦略の本領であり、強力な競合他社に唯一勝てる「弱者の戦略」です。


それではこの「弱者の戦略」とは何なのか、具体的に説明していきます。

強力な競合他社に勝つには接近戦・局地戦に限定する

強力な競合他社に勝つには接近戦・局地戦に限定する
弱者はエリアや商品・サービスなどのジャンルを限定しない広い領域で勝負してはいけません。

ランチェスター第二法則を思い出してください。
広域戦では戦闘力は以下の計算式で求められました。

【ランチェスター第二法則(広域戦)での戦闘力の計算方法】
人数の2乗×武器性能=戦闘力


広域戦では社員数・資本・広告力などの総合力で上回っている大企業や先行企業が圧倒的に有利なのです。

弱者である中小企業が、広い市場で大企業や先行しているライバル企業と真正面からぶつかっても、確実に負けてしまいます。

たとえば工務店でいえば、「注文住宅からリフォームまで何でもできます」ということのみをうたっていても、すでに優位にある企業に打ち勝つことは難しいのです。

弱者が1位を目指すには、市場を細分化するセグメンテーションが必須

弱者が売上げを拡大するときに取るべき戦略は、ずばり局地戦になります。

ランチェスター第一法則を説明したときの例で、人数が少ないBチームが武器の優秀さのおかげでAチームに勝ったことを思い出してください。
狭い市場であれば、資本力で優位な企業に対して、中小企業が商品力・経営戦略によって勝つことも不可能ではないのです。

また、大企業といえどもすべてのエリアに十分な量の営業社員・広告費を投入できているわけではないので、特定のエリアに限定すれば中小企業のほうが営業社員・広告費で勝ることも十分ありえます。

つまり市場を細分化することで、自社が勝ちうるフィールドを見つけ出すのです。
この市場を切り分けて細分化していく作業のことを、マーケティング用語で「セグメンテーション」と呼びます。

たとえば自社が工務店なら、「お風呂のリフォーム」「キッチンのリフォーム」など、リフォームの箇所によってサービスを分類し、最も得意で強みが活かせる箇所に着目して、そこを中心的に戦うフィールドにするのです。

これはニーズによるセグメンテーションです。
自社の商品/サービスをニーズごとに細分化する(セグメンテーション)

「高級食パン専門店」などの店舗はランチェスター戦略とセグメンテーションを応用した典型例

あえて「●●専門店!」と名乗ることで、他の多数の競合店舗から抜け出た存在になれる

あえて「●●専門店!」と名乗ることで、他の多数の競合店舗から抜け出た存在になれる
ニーズによるセグメンテーションの活用例は実際に街でもよく目にします。
数年前から「高級食パン専門店」「メロンパン専門店」「オムライス専門店」など、特定の商品や料理に特化した店を見かけることが増えていませんか?

これは典型的なランチェスター戦略の活用例です。

普通の「パン屋」では、エリア内に競合店舗が多数ありますし、今ではコンビニやスーパーでも相当おいしいパンを買えますから熾烈な競争にさらされてしまいます。

ですが「高級食パン専門店」とうたえば、普通のパン屋から頭ひとつ抜けてその分野のNo.1になれますし、コンビニ・スーパーのパンでは満足できない層を着実に集客できるのです。

専門分野を絞ることで第一想起を獲得し、すぐに思い出してもらえる存在になれる

専門分野を絞ることで第一想起を獲得し、すぐに思い出してもらえる存在になれる
また第一想起(トップ・オブ・マインド)を獲得できるのも中小企業にとっては、非常に強力かつ得がたいメリットです。

第一想起とは「スマートフォンといえばiPhone」「ハンバーガーショップといえばマクドナルド」のような、特定の商品で最初に頭に浮かぶブランドのことです。

普通のパン屋でそのエリアの第一想起を獲得することはかなり難しいですが、「高級食パン専門店」ならば同じ業態の店が近くにないかぎり、自分の店が第一想起になります。
顧客が記憶できるブランド名・店舗名・会社名の数には限界があるので、この第一想起を獲得することは集客数を増やすうえでかなり重要です。

以上のような理由で、「高級食パン専門店」などのニッチなニーズに特化した店が街中で増えているのです。

これらの専門店は、ランチェスター戦略とセグメンテーションの有効性を身近に体感できる生きた実例だといえるでしょう。

エリアや顧客層によるセグメンテーションも有効

特定の県・市に販売活動や広告資源を集中したり、競合があまり力を入れていない顧客層を開拓したりするのも効果的

特定の県・市に販売活動や広告資源を集中したり、競合があまり力を入れていない顧客層を開拓したりするのも効果的
あるいは、自社の営業範囲が県全体ならそのなかの特定の市に注目して、そこに集中的に勝負をしかけるのもよいでしょう。
これはエリアによるセグメンテーションです。

また、顧客層によるセグメンテーションも有効です。

一番分かりやすいのがBtoCとBtoBによる分類です。

リフォームをメインにしている工務店で一般家庭向けが強力なライバルにおさえられている場合、あえてオフィスや飲食店、老人ホームなどのBtoB領域のリフォーム事業を伸ばしていくという手法が考えられます。

ライバルが比較的に少ないブルーオーシャンを開拓するのです。

企業ホームページとSEO(検索エンジン最適化)対策を利用すれば、コストをかけずに新しい市場を開拓できる

企業ホームページとSEO(検索エンジン最適化)対策を利用すれば、コストをかけずに新しい市場を開拓できる
「そう簡単にまったく別の市場を開拓できないよ」と思われる方も多いかもしれませんが、後述する企業ホームページとSEO(検索エンジン最適化)を駆使すればコストをかけずに、新市場を開拓することは可能です。

※SEOについて詳しくは以下のページをご覧ください。
参考ページ:SEO対策とは? 10年・20年と長期的に企業ホームページで集客できる基本を、初心者にもわかりやすく解説!

とくに広告予算などが限られる中小企業がランチェスター戦略を実施する際は、企業ホームページとSEO対策の活用は必須といってもよいでしょう。

ニーズやお悩みのシチュエーションが異なる顧客層はさらに細分化する

また、顧客はBtoC、BtoBからさらに細分化できますので、できるだけ分割しておくのがよいでしょう。

たとえばBtoBのリフォームでも顧客層はさらに分割できます。

【BtoBリフォームの顧客層】
  • マンションやアパートなどの不動産管理会社
  • 入居率を上げたい不動産のオーナー
  • オフィスや給湯室をリフォームしたい一般企業
  • 飲食店などの店舗
  • ホテル・旅館などの宿泊施設

以上のような顧客層のなかからひとつを選択し、まずはそこに集中的に営業資源・広告資源を投入しましょう。
そのセグメントでNo.1を獲得できたら、次のセグメントを狙いそこでもNo.1を目指します。

ランチェスター戦略ではこのようにニッチなフィールドでの1位を積み重ねることで、着実な売上げ拡大を狙います。

HISを飛躍的に成長させた各個撃破戦略

1980年には零細企業だったHISは、なぜ日本トップクラスの旅行会社にまで急速に成長できたのか?

ランチェスター戦略を活用しニッチなフィールドへの集中攻撃を繰り替えすことで、多大な成長を遂げた企業の代表例がHISです。

今では名だたる大企業であるHISも、1980年の創業当時はお客様が週に数人来るぐらいの零細企業でした。

※当時のHISの話は創業者である沢田秀雄会長兼CEOが、以下のインタビューで詳しく語っています。興味がある方はぜひご覧ください。

参考ページ:『目立たず一番に・唯一の価値追求 勝つ経営の方程式 エイチ・アイ・エスの沢田会長兼社長(CEO)』(NIKKEI STYLE)

HISは大手の旅行代理店が力を入れていなかった、セブ島やバリ島へのツアーに集中して小さなNo.1を積み重ねた

HISは大手の旅行代理店が力を入れていなかった、セブ島やバリ島へのツアーに集中して小さなNo.1を積み重ねた
HISは、大手旅行会社が力を入れていたハワイやグアムなどの有名観光地へのツアーではなく、セブ島やバリ島、タイなど当時はマイナーだった観光地へのツアーを集中的に取り扱いました。

沢田秀雄会長兼CEOは以下のように当時の戦略を語っています。

「どの分野に進出しても、とにかくナンバーワンを取るというのが私の戦術・戦略です。海外旅行でも、ナンバーワンがほぼ射程に入ってきました。最初は「バリ島の送客でナンバーワンになれ」と発破をかけ、それをクリアしたら次はタイに目標を変え、そこで1位になったらまた新しいエリアをという形で陣地を広げていきました。これをHISでは「各個撃破」と呼んでいます。

海外旅行は大手が全て扱っていますので、すぐに全部の旅行先で1番になれるわけがない。そこでターゲットを絞って、一つひとつ攻略していったのです。全部をいきなり取ろうとすると、経営の3要素であるヒト、モノ、カネが分散してしまって力を出せない。1カ所だけだったら経営資源を集中投下できるのです。その積み重ねで、HISは今、アジアでは全てナンバーワンになりました。」


出典:『目立たず一番に・唯一の価値追求 勝つ経営の方程式 エイチ・アイ・エスの沢田会長兼社長(CEO)』(NIKKEI STYLE)

このようにニッチな市場への集中攻撃と各個撃破が有効なのは、すでにHISが証明済みなのです。

ぜひみなさんの会社でも、まずはセグメンテーションをして自分たちが優位に立てそうな市場を発見し、集中的に各個撃破を狙ってみてください。

なぜWebマーケティングとランチェスター戦略は相性がいいのか?

Webマーケティングでランチェスター戦略を活用するには?

Webマーケティングでランチェスター戦略を活用するには?
ここまでご説明してきたように、ランチェスター戦略は中小企業にとって非常に実行しやすいマーケティング戦略です。

そして中小企業がランチェスター戦略を実施するうえで、ぜひ活用してもらいたいのが企業ホームページなどを活用したWebマーケティングです。

Webマーケティングは実行に必要なコスト・リスクが少ないため、ランチェスター戦略の実行には最適なのです。

Webマーケティングはニッチな市場をターゲティングしやすい

SEO対策を駆使してニッチなニーズに訴求するページを作れば、合致するニーズを持った顧客をダイレクトに集客できる

SEO対策を駆使してニッチなニーズに訴求するページを作れば、合致するニーズを持った顧客をダイレクトに集客できる
ランチェスター戦略の根幹はセグメンテーション(市場分割)にありますが、Webマーケティングはニッチな市場の掘り起こしに非常に適しているのです。

企業ホームページの集客の要であるSEO対策を例にお話しましょう。
SEO(Search Engine Optimization、検索エンジン最適化)対策とは、Yahoo!やGoogleなどの検索エンジンを経由した集客数を増大させる手法のことです。

検索ユーザーがYahoo!やGoogleで入力するキーワードは、必ずその人のニーズを反映しています。

たとえば「長崎 注文住宅 パントリー」という言葉で検索する人がいれば、その人は「長崎県に住んでおり、パントリー付きの注文住宅の新築を検討している」ということになります。

そこで、みなさんが長崎県の工務店のホームページを運営していて、「注文住宅のパントリー製作実績特集」などのページを作成すれば高確率で検索順位を獲れるうえに、一致するニーズを持った顧客を効率よく集客できるでしょう。

とくに、弊社の企業向けホームページ作成ソフト・おりこうブログのように、自社で簡単にページを追加できるサービスを利用すれば追加費用もかかりません。

以上のように、SEO対策を駆使すれば「パントリーに特に興味がある、注文住宅を検討中の人々」というニッチなニーズを抱えている顧客にもダイレクトにリーチ(接触)できるのです。

SNSは地方では活用している企業が少ないため、小さなNo.1を獲得しやすい手法

SNSは地方では活用している企業が少ないため、小さなNo.1を獲得しやすい手法
また、SEO対策以外でもニッチなターゲットにコストを抑えてリーチするのはWebマーケティングが得意としているところです。

各種Web広告では、広告を表示させるユーザーの層を細かく設定できますし、Fecebook・Twitter・InstagramなどのSNSでもハッシュタグを活用することで特定の層に情報を届けることができます。

とくにSNSは無料で活用できるメディアであるうえに、地方では活用している中小企業が少ないため、後発でもNo.1を獲得しやすい傾向にあります。

※InstagramなどのSNSや、Youtubeなどの動画コンテンツの中小企業における活用法については、以下をご覧ください。

Webマーケティングはニッチ市場を日本全国・全世界のエリアで掘り起こしできる

Webマーケティングはニッチ市場を日本全国・全世界のエリアで掘り起こしできる
またニッチなニーズといっても、特定の地域だけに存在しているとは限りません。

同じニーズを抱えている人は日本全国、あるいは全世界に存在しているかもしれないからです。

このように広範囲に薄く広がっているニッチなニーズの掘り起こしにも、SEO対策は適しています。
広範囲に薄く分散している見込み客にアプローチするのは、テレビCMや新聞、ダイレクトメールのような有料広告ではコストパフォーマンスが悪すぎて困難です。

ですがSEO対策であれば、合致するニーズを持った顧客が自分からキーワード検索してアクセスしてくれるため、ほとんどコストをかけずに効率的に広範囲の顧客掘り起こしが可能になります(インバウンド集客)。

ニッチ市場を広範囲で開拓できるSEO対策はランチェスター戦略の実行にはまさにうってつけです。

Webマーケティングは安価もしくは無料で実施できる

Webマーケティングは安価もしくは無料で実施できる
Webマーケティングはコストが安く、施策によっては無料で実施できるのも大きなポイントです。

とりわけSEO対策では、弊社のCMS・おりこうブログのように、自社で編集し無料でページを追加できるサービスを利用すれば、追加料金なしでいくらでもニッチ層の掘り起こしができるようになります。

※とりわけ中小企業のホームページではページ数の充実は、集客力に直結しやすいです。
詳しくは以下のページをご覧ください。

参考ページ:SEO対策の初心者はページ数を増やすことから始めよう! ホームページの集客とページ数の関係とは?

無料で集客できるというメリットはランチェスター戦略の特性と非常によくかみ合います。

これまでは母数が少ないため広告費をかけてもペイしないため手が出せなかったニッチな顧客層も、SEO対策なら無料なので積極的に開拓できるからです。

現にネット通販で世界最大手のAmazonは、ニッチでマイナーな商品を多種類取りそろえることで莫大な売上げを確保しています。

※一部の人気商品に頼るのではなく、多種類のニッチな商品で売上げを確保する販売手法をロングテール戦略と呼びます。

検索エンジンの特性を活かせば、ニッチ市場への集中と幅広い市場へのアプローチを両立できる

ニッチ市場への集中は、リスクを感じてなかなか踏み出せない企業が多いのも事実

ニッチ市場への集中は、リスクを感じてなかなか踏み出せない企業が多いのも事実
「ニッチ市場に集中する」というのがランチェスター戦略の基本戦略ですが、「そうはいっても、一部の商品・サービスのみに特化するのはリスクが大きすぎる…」と二の足を踏む方も多いと思います。

つまり「何でもリフォームを承ります!」という状態から、「お風呂のリフォーム専門店」になったとしても、果たしてお風呂のリフォームだけで十分な売上げが確保できるのか?という懸念です。

たしかに特定の市場だけに集中しても、そこにビジネスを回せるだけの需要がなかった場合は経営が成り立たなくなってしまいます。

ですが企業ホームページと検索エンジンの特性を活かせば、リスクを最小限にしたうえでニッチ市場への集中が可能です。

どういうことなのか、具体的に説明していきましょう。

成功している企業ホームページの訪問者の多くはトップページを経由せず、GoogleやYahoo!から下層ページへダイレクトにアクセスしている

成功している企業ホームページの訪問者の多くはトップページを経由せず、GoogleやYahoo!から下層ページへダイレクトにアクセスしている
企業ホームページを長年運営している方でも勘違いしていることが多いのですが、訪問者のほとんどはまずトップページにアクセスしてそれから各詳細ページに流れていく・・・というイメージをお持ちではないでしょうか?

しかし、検索エンジンのアルゴリズムが発達し、きめ細やかな検索ができるようになった今では、そのイメージは現実と異なります。

たとえば工務店のホームページであれば、むしろ訪問者のほとんどは、「○○市のお風呂のリフォーム施工事例」や「■■市の太陽光発電設置工事について」などの下層ページに検索エンジンを通してダイレクトにアクセスしてくるのです。

「○○市 お風呂 リフォーム」などのキーワードで検索して上位に表示されるのは、会社のトップページではなく、お風呂のリフォームの紹介ページだからです。

実際、集客に成功している企業ホームページではトップページ経由のアクセスは全体の20%以下にすぎないといわれています。

つまり残りの80%はトップページを経由せずに、具体的な下層ページへダイレクトにアクセスしているのです。

集客に成功している企業ホームページの多くは、トップページ依存型ではなく各下層ページから分散集客できる体制を整えています。
トップページ依存型ホームページ
トップページ依存型ホームページ
分散集客型ホームページ
分散集客型ホームページ
※集客がうまくいっていない中小企業ホームページの多くが、トップページ依存型に陥っています。
詳しくは以下のページをご覧ください。

訪問者の各ニーズの受け皿となる下層ページを追加することで、集客と信頼獲得を実現できる

そして、企業ホームページの訪問者がその会社に対して抱く第一印象は、最初にアクセスしたページによって大部分が決定されます。

以上の検索エンジンと企業ホームページの特性を利用すれば、以下のような戦略が立てられます。

「○○市のお風呂のリフォームなら、■■工務店へ!」などのtitleタグを付けてSEO対策をしたうえで、お風呂のリフォームについて濃密な情報や施工事例を掲載した紹介ページを追加するのです。

※titleタグについて詳しくは、以下のページをご覧ください。
参考ページ:検索順位とクリック率をアップさせやすいtitleタグ(ページタイトル)の付け方を徹底解説!


そうすると、お風呂のリフォームを検討している訪問者が検索エンジン経由で最初に見るのはそのページになるわけですから、実際は自社が他の箇所のリフォームも手がけていたとしても、ページ内容が充実していれば「お風呂のリフォーム専門業者」に負けないぐらいの信頼感を持ってくれます。

企業ホームページの訪問者は自分のニーズに関係あるページしか読まない

企業ホームページの訪問者は自分のニーズに関係あるページしか読まない
「いやいや、実際はホームページ内には他の箇所のリフォームも紹介したページもあるんだから、そこまで大きな影響はないんじゃないの?」と思われる方もいるかもしれませんが、基本的に訪問者は自分のニーズに関係しているページ以外はほとんど視野に入れていません。

たとえばお風呂のリフォームのみをしたいと考えている訪問者が、リビングのリフォームのページも見ることはかなり稀なのです。

企業ホームページの運営者は大半のページの内容を把握し、ホームページを「森」として見ていますが、訪問者は自分に関係あるページという「木」しか見ていません。

考えてみればこれは当たり前の話です。訪問者は「企業ホームページをできるだけ読みたくない」と感じているからです。

スポーツや音楽、ドラマ・映画などの自分の趣味・娯楽に関するWebサイトなら、すみずみまで読みたいと思うでしょうが、わざわざ貴重な時間を割いて企業ホームページを個人の楽しみとして読む訪問者は皆無といってよいでしょう。

企業ホームページの訪問者が考えているのは、「自分の悩みや疑問、要望をどれだけ早く・簡単・安く解決できるか?」だけであり、それ以外の情報は高確率で無視されてしまいます。

それぞれの顧客層に特化した下層ページを作ることで、異なる顧客層を同時に開拓して各個撃破できる

それぞれの顧客層に特化した下層ページを作ることで、異なる顧客層を同時に開拓して各個撃破できる
だからこそ、「お風呂にリフォームをしたい」と考えている訪問者の心をつかむためには、トップページを経由し何回かバナーをクリックして、ようやくお目当ての「お風呂のリフォーム」ページにたどり着く…という状態では不十分です。

それよりは「お風呂のリフォーム」の紹介ページを充実化させて、そのニーズに合致する顧客を検索結果からダイレクトに集客すべきでしょう。

自社の商品・サービスをニーズごとにセグメンテーションし、それぞれの顧客層の受け皿となるページを増やせば、コスト・リスクを最小に抑えたままランチェスター戦略の実行が可能になります。

「ランチェスター戦略を自分の会社でも始めてみたい」という方は、ぜひ企業ホームページのページ数増加から着手してみましょう。

地方では企業ホームページをはじめ、Webマーケティングに力を入れている企業が少ない

地方では企業ホームページをはじめWebマーケティングに力を入れている企業が少ないので、小さなNo.1を獲得しやすい

地方では企業ホームページをはじめWebマーケティングに力を入れている企業が少ないので、小さなNo.1を獲得しやすい
さらに、地方の中小企業のなかでは、Webマーケティングや企業ホームページの充実化に力を注いでいる会社はまだまだ圧倒的に少数派なのが現状です。

それはつまり、自社がWebからの集客に本気で取り組めば簡単に競合他社よりもリードできることを意味します。

たしかに企業ホームページの運営は楽ではありません。

SEO対策でGoogleやYahoo!から集客しようと思ったら、手を抜かずにしっかりと文章を作り込んでページ化して公開していく必要があります。

※企業ホームページの文章の書き方は以下のページで詳しく解説しています。


どんなに編集が簡単で楽なホームページ作成ソフトを使ったとしても、根本の文章執筆作業自体は大変です。

ですが、大変で手間がかかる作業であるからこそ、他のほとんどの地元企業が諦めてくれて参入障壁となっているのも事実です。

逆説的な話になりますが、SEO対策による集客やホームページによる集客は手間がかかるからこそ、そこに力を注ぎこめば多くの地元の競合他社を抜き去りNo.1になれる可能性が高いのです。

地方でのWeb活用はランチェスター戦略を低コストで実施できる最適のフィールドだといえます。

※具体的な競合他社のホームページへの勝ち方については、以下のページで詳しく解説しています。

企業ホームページの活用はランチェスター戦略のスタートに最適

企業ホームページの活用はランチェスター戦略のスタートに最適
以上のような理由で、狭い市場でNo.1を目指すランチェスター戦略は企業ホームページの活用と非常に相性がよいです。

ぜひみなさんも企業ホームページを活用して、小さなNo.1を積み重ねてみてください。

なお、実際に新規コンテンツ・新規ページを追加してSEO対策で集客するテクニックについては、以下のページで紹介していますのでぜひこちらもご覧ください。

参考ページ:コンテンツSEOとは? メリットとデメリット、実施する際の具体的な手順をWebマーケティング初心者へ解説!
参考ページ:アクセス数を増やせる、良質なSEOコンテンツの作り方を徹底解説!
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