4Pとは? マーケティングミックスの意味と考え方を解説
更新日:2024.09.30
今回は、マーケティングの教科書では必ず紹介される「4P(読み方:ふぉーぴー/よんぴー)」について解説いたします。
マーケティングに興味をお持ちの方なら一度は耳にしたことがあるはずです。
まずはじめに、声を大にして言いたいことがあります!
“マーケティング”は販促・プロモーション活動
だけじゃない!
だけじゃない!
『マーケティング=販促活動』と勘違いしている方も多いですが、実際には、製品開発から販促に至るまでのそれぞれのプロセスにおいて、“マーケティング”施策が必要になってきます。
マーケティングのフレームワーク、「4P」とは?!
4Pとは、企業が商品やサービスを販売するために使用されるマーケティング要素を組み合わせたもので、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの要素から成り立っています。
この概念は、1960年代にアメリカのマーケティング学者、エドモンド・ジェローム・マッカーシー(E. Jerome McCarthy)によって提唱されました。
また、4Pはマーケティングミックスと呼ばれることもあり、効果的に市場へ商品・サービスを届けるために活用します。
マーケティングの4Pは、4つの戦略
4P | 戦略 | 説明 |
Product | 商品戦略 | ターゲットに対して、どんな商品・サービスを売るのか。売れるためにどう差別化していくかのコンセプトづくりが重要です。 |
Price | 価格戦略 | ターゲットにいくらで届けるのか。高価格帯で攻めるのか低価格帯でいくのかの価格設定。 |
Place | 流通戦略 | ターゲットにどのような経路や手段で届けるか。店舗、卸、通販、ネットなど最適な流通を考えます。 |
Promotion | 販促戦略 | ターゲットにどのように商品の存在や特徴、魅力を知らせるか。広告、広報、ホームページ、SNS、キャンペーンなどでの販売促進策。 |
なお、4Pは、個々の要素をバラバラに考えてしまっては整合性がとれません。
例えば、高級なワインを高いままディスカウントストアで販売しても、狙った顧客層に届けにくいように、4Pは一貫性やバランスがとれていなければ成功する可能性は低くなってしまいます。
自社の製品・サービスは、4Pのどこが強みで、どこに課題があるのかを分析して戦略を整えていくことが重要です。
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4P分析の進め方
4P分析は、1. Product → 2. Price → 3. Place → 4. Promotionの順に考えましょう。
1. Product(製品)
製品とは、企業が顧客に提供する商品やサービスのことです。オンラインで提供されるコンサルティングやカスタマーサポートなどのサービスも含まれます。
まずは、製品の特長や機能を分析しましょう。たとえば、製品がどのような問題を解決するのか、競合製品と比較してどのような利点があるのかを理解することが重要です。
また、製品の品質やブランド力も大切で、顧客の購買意欲や満足度に大きく影響します。購入後のサポート体制も、顧客との信頼関係を維持し、ポジティブな口コミや再購入を促進するために欠かせません。
2. Price(価格)
価格は、顧客が製品やサービスに対して支払う金額を指します。価格戦略を立てる際には、まず製品の生産や提供にかかるコストを把握し、それに基づいて価格を設定することが基本です。
しかし、単にコストに基づいて価格を設定するだけではなく、どのような価格戦略を取るかが重要です。たとえば、高価格でプレミアム感を出したり、低価格で広範な顧客層を狙ったりする戦略があります。
また、競合他社の価格設定を参考にし、自社製品が市場でどのように位置づけられるかを把握することも大切です。
3. Place(流通)
流通とは、製品が顧客に届くまでの経路や方法のことです。効率的な流通戦略を構築するためには、販売方法(オンライン販売、実店舗販売、卸売りなど)を決める必要があります。
また、製品を地域限定で販売するのか、全国的に展開するのか、あるいはグローバルに展開するのかといった流通の範囲も重要です。在庫管理も流通戦略の一環であり、供給と需要のバランスを維持するために適切に管理する必要があります。
さらに、製品が迅速に顧客へ届けられるようにすることも重要です。小売業者や代理店などの販売パートナーとの関係を強化し、販売ネットワークを最適化することが求められます。
4. Promotion(プロモーション)
プロモーションは、製品やサービスの認知を高め、顧客に購入を促すための活動です。プロモーション戦略を効果的に展開するためには、まず広告が重要な役割を果たします。これは、マスメディアやデジタルメディアを通じて製品を広く知ってもらうための手段です。
また、割引クーポンや期間限定オファーなどの販売促進策も活用し、購入を促進します。パブリックリレーションズ(PR)も、メディアやイベントを通じてブランドイメージを向上させるための重要な活動です。
さらに、営業担当者が直接顧客にアプローチし、製品を紹介・販売する人的販売や、SEOやコンテンツマーケティングなどのデジタルマーケティングもプロモーションの一環として考えられます。
このように、4Pの各要素を深く理解し、それぞれの戦略を一貫させることで、より効果的なマーケティングが実現できます。
4P分析をしてみよう(実践)
ペルソナ
名前 | 春山 さくらさん |
年齢 | 32歳 |
性別 | 女性 |
職業 | 広告代理店のマーケティングマネージャー |
家族構成 | 既婚、1歳の子どもがいる |
住居 | 東京都内のマンション |
年収 | 800万円 |
趣味・関心 | ヨガ、旅行、美容、SNS(特にInstagram) |
ライフスタイル | 忙しい仕事の合間に、できるだけ効率的に家事や育児をこなすことを重視している。家族と過ごす時間を大切にしつつ、自分磨きの時間も確保したいと考えている。 |
価値観 | 時間の有効活用、自己成長、健康、家族とのつながりを大切にしている。最新のトレンドに敏感で、特にエコやサステナビリティに興味がある。 |
購買行動 | 高品質な商品やサービスを選ぶ傾向があり、価格よりも価値を重視する。口コミやレビューを参考にして購入を決定することが多く、オンラインショッピングを頻繁に利用している。 |
4P分析
Product(製品):
さくらさんのニーズに応えるため、忙しい生活をサポートする高機能かつ短時間で効果が出るヘアドライヤーを提供します。彼女が興味を持つエコフレンドリーな素材や、持続可能な製品というポイントをアピールするとより効果的です。
Price(価格):
さくらさんは品質を重視するため、価格は少し高めに設定しても問題ありません。ただし、製品の価値が価格に見合っていることをしっかりと伝える必要があります。とくに、長く使える耐久性や、環境への配慮が価格に反映されていることを強調するとよいでしょう。
Place(流通):
さくらさんはオンラインショッピングを頻繁に利用するため、主要なECサイトや自社のオンラインショップでの販売を強化します。また、彼女が利用するショッピングモールや百貨店でのポップアップショップも効果的かもしれません。さらに、口コミやレビューが購買意欲に影響するため、レビューサイトやSNSでの評判を重視します。
Promotion(プロモーション):
SNSの中でも、とくにInstagramを活用したプロモーションが有効です。さくらさんはトレンドに敏感なので、インフルエンサーを活用したPRやエコ、サステナビリティをテーマにしたキャンペーンが響くでしょう。また、彼女のライフスタイルに合わせた時間限定のセールや、購入特典(たとえば、サンプルのプレゼントなど)も効果的です。
以上のように具体的なターゲット顧客を明確にすることで、製品やサービスのマーケティング戦略をより効果的に分析・設計できます。
4Cとは~買い手目線へ変換して考えることも必要~
「4P」は、売り手目線のマーケティング理論です。これに対して、買い手目線でマーケティングを考えた「4C」という理論もあります。
4P 売り手視点 | ⇔ 4C 買い手視点 | 説明 |
Product 製品 | ⇔ Customer Value 顧客価値 | Product(製品)は、顧客のニーズをとらえ、価値のあるものになっているか?を確認しましょう。 |
Price 価格 | ⇔ Cost コスト | Price(価格)は、顧客にとってはコストであり妥当な価値があるか? コストは、価格だけでなく時間コストも考慮すると課題が浮き彫りになります。 |
Place 流通 | ⇔ Convenience 利便性 | Place(流通)は、顧客にとって利便性があるかどうかです。単に“場所”ではなく“買いやすさ”を追求することが大切です。 |
Promotion プロモーション | ⇔ Communication コミュニケーション | Promotion(広告)は、一方通行で終わってはいけません。顧客に売り込みをかけるものではなく、納得させることのできるコミュニケーションになっているかを考えましょう。 |
ホームページ運営での4P・4Cの活用方法
今の時代、買い手の立場では、ネット検索すれば簡単に比較検討することができます。
私たちホームページ運営者側は、このことを強く意識しておかなければなりません。お客様が何を基準に他店と比較検討しているのか?
これを知るためには、競合サイトを客観的に分析することが近道です。
まずは、検索エンジンで自身のサイトと上位表示されているサイトを比較してみましょう。
※より具体的な競合他社のホームページの分析方法や、差別化の戦略の実施方法については以下のページをご覧ください。
自社の強みは何か→強みは作ることができる
例えば、同じ商品を扱っている競合サイトが、自社よりも安い価格設定だとします。
同じ商品であれば、買い手は安いほうを選ぶのが自然ですが、実際にはそれだけで勝敗は決まりません。
価格はひとつの要素に過ぎないからです。皆さんが消費者の立場で実際に商品を選ぶ際は、価格以外にも、サイトの信頼性や品揃え、納期、決済、配送方法などもきっと比較しているはずです。
サイトに情報を掲載する際に、メーカーカタログをスキャンして載せただけでは、同じ商品を扱う競合との間に優位性は生まれません。
お客様に「このサイトで申し込みたい」と動機づけが必要になってきます。
買い手の立場で知りたい内容を、画像やテキストでしっかり掲載できているかだけでも反応は変わってきます。
ホームページに閲覧者が知りたい情報を充実化させてゆくと、検索エンジン経由のアクセス数も増加していきます。
(Googleは“ユーザーに役立つコンテンツを高く評価する”とのポリシーを貫いています。)
※詳しくは以下のページをご覧ください。
この結果、SEO対策の強化にもつながります。
価格の安い競合サイトよりも上位表示されれば、それだけで勝率は上がっていくでしょう。
また、最近では検索エンジンを使わない層もいます。
facebookや(旧twitter)、instagramなどSNS経由のアクセスです。
SEO対策で競合サイトと競っているならば、それに加えて別のチャンネルでもプロモーションを行うわけです。
ホームページ運営をベースとして、SNSや印刷物などの展開も合わせていくことで、お客様に優位性を伝えていくと効果的です。
※なお、「効果的なコンテンツとは何か」や「Yahoo!やGoogleの上位を獲得して集客できるコンテンツの作り方」は以下のページで詳しく解説していますので、ぜひご覧ください。
4Pの事例や実践方法を簡単に学べる本・参考書籍
メルカリやLINE、リクルート、Amazonなどの実際の企業のマーケティング戦略をわかりやすく解説している新書でオススメです。
タイトルだけを見ると安易にジェンダーで顧客層を切り分けているような印象を受けるかもしれませんが、実際にはそれだけにとどまらず、マーケティング戦略の立案過程を広範に扱っている良書です。
とくに学習用アプリ『スタディサプリ』の価格が1科目あたり月5000円から、全科目使い放題で月980円に移行していくまでの流れは、「企業側の予測と、実際のターゲットの思考のズレをいかに解消していくか」という4Pの普遍的な内容が書かれており、中小企業が4Pを実践する際にも非常に参考になります。
リリース前はまったく予想していなかったターゲット層にスタディサプリが売れていく様子などもとても面白いので、4Pの実践例を詳しく知りたい方はぜひご一読ください。
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4P・4C分析はマーケティング戦略を成功させるのための第一歩
4P・4Cは、マーケティング手法のひとつでしかありません。
競合や顧客の環境は常に変化していますから、一度4Pや4Cで分析して戦略を立てたからと安心してはいけません。
4Pや4Cを活用していくには、何度もPDCAを回していくことが大切です。
実際のホームページのアクセス数や、お問い合わせなどのコンバージョン数を計測しながら、改善を進めていきましょう。
※コンバージョンについては以下のページで詳しく解説していますので、ぜひこちらもご覧ください。
さらに集客力・売上げをアップさせる方法を知りたい方は、以下の資料をダウンロードして、ぜひご参考ください。
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