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『新規顧客が勝手にあつまる 販促の設計図』 企業ホームページ運営参考書籍レビュー

更新日:2025.03.21
新規顧客が勝手に集まる 販促の設計図
企業ホームぺージ運営やマーケティングに関する本・書籍をご紹介。
今回は『新規顧客が勝手に集まる 販促の設計図』(著:中野道良)の読みどころやポイントを紹介します。
企業の成長を支えるためには、効果的なマーケティング戦略が欠かせません。

本書では「販促の設計図」を基に新規客を引き寄せ、成約に導くための具体的な手法を4つのステップと6つのツールで解説しています。

マーケティングについて学びたい方、企業の営業・マーケティング担当者の参考になる一冊でしょう。

【特に重要なポイント・内容】

販促の設計図

「販促の設計図」とは…見込み客との機会をつくり出し、興味を抱かせて商談にのぞみ、たとえ成約しなくても次の商談機会を自動的に生み出す仕組みのこと。

販促の設計図では見込客の段階を4つのステップで考える
見込客の段階を表す4つのステップ

  1. 発掘
    見込客の「自ら商品を選択したい気持ち」に対してアプローチする。
    Web上…リスティング広告・コンテンツSEO・ダイレクトメール
    リアル…セミナー・展示会

  2. 誘引
    接点を持った見込客の興味・関心を高め、その後の商談を優位にする。
    ツール:コーポレートサイト、ノウハウブック

  3. 獲得
    「いますぐ客」にファーストコンタクトを取り、商談と受注の準備をする。
    「そのうち客」の対応も忘れず、その後のサポート、追跡をする。

    ※いますぐ客…欲しいサービスや商品が明確で、すぐにでも商談したいお客様
     そのうち客…予算や納期が曖昧で、購入するか不明なお客様

  4. 追跡
    定期的な顧客フォローを仕組化し、既存客とそのうち客へ分けてアプローチする。
    ツール:ニュースレター、メールマガジン


販促の設計図を作るための6つのパーツ


自動的にお客様が集まる仕組みをつくるには、6つのパーツに投資する。
投資する順番は会社の業態、成長段階によって異なる。

販促の設計図を作るための6つのパーツ


販促の設計図の重要指標とは


販促の設計図の最終目標はLTVの最大化である。

LTVとは…1社の顧客との取引を開始してから終了するまでの間、企業にもたらした売上を測る指標。

(例) 月30万円の売り上げで2年間契約した場合:LTV=30(万円)×24(ヵ月)=720万円

問い合わせの獲得など細かい指標も重要だが、BtoBは訪問者が少なく販売単価が高いためLTVに着目する方が成果につながりやすい。


徹底してお客様の共感を獲得し、ファンをつくる(売り込み色を消す)ことが重要である。
ポイントは製品のスペックではなくお客様のメリット、商品導入後の変化を伝えること。


販促の設計図をつくるには顧客を選び、知る必要がある。
そのためにはペルソナ(自社の製品やサービスのターゲットとなる理想的な顧客像)をイメージすることが重要である。


BtoBでは法人と個人の2種類のペルソナが必要となる。商談機会を得るためにも、初めの接点となる担当者のイメージが一番重要である。


先述した 「1.発掘」では3つのパーツがあり、「リスティング広告」「コンテンツSEO」「ダイレクトメール」である。

  • 商品名、検索するキーワードが明確  → リスティング広告
  • 課題は分かるが、商品のニーズは曖昧 → コンテンツSEO
  • 見込み客のニーズを掘り起こす    → ダイレクトメール

    以上のように、顧客企業の状況を踏まえて使い分けるとよい。


6つのパーツの実践法

パーツ1:「コーポレートサイト」

コーポレートサイトとは、企業自体の公式Webサイト。
会社概要・製品情報・採用情報・ニュースなどが主なコンテンツである。

コーポレートサイトが重要な理由には大きく分けて2つある。

  1. インターネットで情報収集する買い手が増えたため。
  2. BtoBでは製品・サービスだけでなく販売する企業についても十分な調査をするため。

メインのコーポレートサイトでへの誘導を増やすため、情報を補完するサイトがあるとより良い。このようなサイトは「サテライトサイト」と呼ぶ。

【弊社の場合】
コーポレートサイト…株式会社ディーエスブランド公式サイト
サテライトサイト …DSマガジン (当サイト)

弊社のコーポレートサイトとサテライトサイトの例


コーポレートサイトは主要ユーザーを「初めて訪問する見込客」に絞ることが重要。
その理由は新しいビジネスチャンスのきっかけとなり、会社の売り上げの最大化に最も貢献するユーザーだからである。

初めてコーポレートサイトに訪問する見込客は、自分自身のメリットに関心がある。
そのため
 
  • なぜ、この商品を買わなければならないか
  • なぜ、この会社から買わなければならないか
 
という2つの疑問に答える内容を用意すれば、見込客に共感してもらい、後々の商談を優位に進めることができる。
 

見込み客にコーポレートサイトを訪問してもらうだけではなく、コンバージョンを獲得する工夫が必要である。

※コンバージョン…資料請求やお問い合わせ
参考ページ:コンバージョン(CV)とは?Webマーケティングでの意味をわかりやすく解説


お悩み解決・ノウハウ・成功事例など見込客の役に立つコンテンツを用意することでコンバージョン獲得につながる。

参考ページ:企業ホームページのお問い合わせ数・新規商談獲得数を増やす基本
参考ページ:企業ホームページのコンバージョン率(CVR)を改善・上げる方法
 

コーポレートサイトは完成して終わりではなく、新鮮なコンテンツをタイムリーに提供するのがポイントである。
CMSを活用することで、社内での更新や運用が容易になる。さらにアクセス解析を活用すれば見込客がどのページに着目し、どれくらいの頻度で訪問しているかなどを可視化できる。
 


パーツ2:「リスティング広告」

検索エンジンからWebサイトへのアクセス増加を図る手法には、SEOとリスティング広告の2つがある。

SEOはコストがかからないが、Googleの評価基準に依存するため不確実な要素もある。
リスティング広告は確実性・再現性があるが、有料である。
 
 

【リスティング広告がもつ3つの特徴】
  • 即効性…「いますぐ客」が多く、商談に繋がりやすい。
  • 再現性…1件でも反応があれば、その後にも期待できる。売上が見込め経営が安定する。
  • 拡張性…予算や広告を表示できるエリアを選べるため、段階を踏んで販路拡大ができる。
 

リスティング広告で成果を出すために

  • 利益の出る商材を選ぶ。競合の多い商品、利益率の低い商材は選ばない。
  • ニッチキーワードを支配する。ターゲット層を限定して情報を発信する。
  • 十分な受け皿を用意する。広告文のリンク先にあるWebサイトの充実を図る。


パーツ3:「コンテンツSEO」

SEOは「検索エンジン最適化」のことで、広告ではなく自然に表示される検索結果を上位に表示するための手法である。
 
近年はユーザーの意図やニーズに合ったコンテンツをもつWebサイトが検索上位に表示される傾向があり、そのような理由から「コンテンツSEO」とも呼ばれるようになった。
ユーザーにとって有益かつオリジナルのコンテンツを定期的に発信する、新たなSEO対策が主流になっている。この活動を「コンテンツマーケティング」と呼ぶ。

参考ページ:中小企業がコンテンツマーケティングを実施する必要性・メリットとは

 
コンテンツマーケティングは、「いますぐ客」を集めてすぐ商談に持ち込む手法ではなく、「そのうち客」に役立つ情報を提供して長期的な関係性を構築する手法である。
 
コンテンツを定期的に更新する仕組みが重要であり、CMSを導入すれば社内での更新が可能である。さらに記事のテンプレートを作成することで内製・外注どちらにも対応できる。


パーツ4:「ダイレクトメール」

ダイレクトメール(DM)とは、さまざまな通信手段を用いて特定のアドレスにむけて情報を届けるマーケティング手法である。
 

ダイレクトメールには大きく分けて、郵送・メール・FAX・お問い合わせフォームから送信の4つがある。
この中で郵送DMはコストがかかるが、一番効果が出やすい。
 

郵送DMの反応率が高い理由には3つの理由がある。
  1. 印刷物では色やデザインに自由度があるため、見込み客に対する訴求力が高い。
  2. 実物のほうが、価値・ブランドを感じてもらいやすい。(お返しをしたいと感じやすい)
  3. 見込客の周りや社内で話題にのぼりやすい。
 

郵送DMの作成には2つの注意点がある。

  1. 開封前の動機づけ(開封率を高める)
    ・ 取引する可能性が高い企業へ送る。
    ・ 相手企業の担当部署、キーパーソンにアプローチする。
    ・ 封筒に印刷するメッセージに工夫をする、デザイン性の高い印刷物を用意する。

  2. 開封後の読み応え
    ・ 十分な情報量と魅力のあるコンテンツを用意する。
    ・ 見込客の共感を得る内容を盛り込む。


LTVに注目すれば、郵送DMの反応率は0.5%でも元がとれる。
→初年度の売り上げが足りなくとも翌年度以降の追加受注、郵送DMから「そのうち客」になった見込客へのフォローによる新規契約の獲得でLTVは大きなものとなる。


パーツ5:「ノウハウブック」

ノウハウブックとは会社が扱う商品ごとに、見込客にとって役立つ情報を掲載した冊子。

【ノウハウブックと会社案内・カタログの違い】
ノウハウブック   → 買い手が知りたい情報、手元に残りやすい
カタログ・会社案内 → 売り手が伝えたい情報、捨てられやすい

【ノウハウブック作成時のコツ】
  1. 情報量を多くする。最低でも16ページ以上にする。
  2. 買い手が知りたい情報を載せる。
  3. デザイン面も重視する。図版を使う、紙質や製本にこだわる。

ノウハウブックに掲載する内容はお役立ち情報に限定する。会社・製品情報を記載すると「売りつけられるのではないか」と警戒する要因になるため最低限に留める。

作成したコンテンツはWebサイトに再掲することで更なる効果に期待できる。


パーツ6:「ニュースレター」

ニュースレターは、企業が顧客や見込み客に対して定期的にお役立ち情報を提供するもの。
新たな商談機会の獲得が主な目的となる。

 ニュースレターの送り先は接点のある見込客のため、多少の売り込み情報は記載してよい。
 
紙のニュースレター、Webのメールマガジンと併用することでより高い効果が見込める。
 
メールマガジンはリンクを掲載してWebサイトに誘導、訪問履歴を取得して顧客との接点を生み出すことを目指す。
 
【ニュースレターとメールマガジンの比較】


ニュースレターメールマガジン
目的お役立ち情報を定期的に提供して新たな商談獲得
強み能動的に見込客へアプローチできる
媒体印刷物電子メール
メリット実物、存在感がある
表現の自由度が高い
同時に大量発信が可能
デメリットコストや手間がかかる
読まれる可能性が低い




本書を読むことで販促・マーケティングにおける見込客獲得のステップ、使えるツールを実践的に学べます。
 
売上が上がらない、新規顧客が集まらないといった課題解決のために「販促の設計図」の作り方を学んでみてはいかかでしょうか。

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